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立教通り皮フ科形成外科

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皮膚科

dermatology

Dermatology皮膚科

湿疹から慢性・難治性の疾患まで、あらゆる皮膚の病気に対する保険診療です。

頭から足先、皮膚だけでなく髪や爪の病気にも対応いたします。また、必要に応じて血液検査、皮膚生検(皮膚の一部を採取することで診断をより確実なものにする検査)など詳しい検査も行います。

よくある疾患

  • 湿疹・皮膚炎
  • アトピー性皮膚炎
  • 白癬(足白癬〈水虫〉・体部白癬〈たむし〉・股部白癬・頭部白癬・爪白癬 など)
  • 蕁麻疹・血管浮腫
  • 尋常性ざ瘡(にきび)
  • 皮膚良性腫瘍
    ホクロ(色素性母斑)、粉瘤(アテローム)、脂肪腫、脂漏性角化症、スキンタッグ、稗粒腫(はいりゅうしゅ)、皮膚線維種などの「皮膚の良性のしこり・できもの」全般です。これらの皮膚良性腫瘍については、それぞれ形成外科の項目で詳しい治療法をご説明しています。
  • いぼ・水いぼ
    いぼ:尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)
    水いぼ:伝染性軟属腫(でんせんせいなんぞくしゅ)
  • 尋常性乾癬
  • 多汗症・腋臭症
    ※特に腋臭症の手術治療については、形成外科の項目もご参照ください。
  • 脱毛症(円形脱毛症・AGA・FAGA)
  • 帯状疱疹
  • 単純疱疹(口唇ヘルペス・性器ヘルペス)
  • 虫刺され・虫刺性皮膚炎・蜂刺され/エピペン
  • とびひ(伝染性膿痂疹)
  • 尋常性白斑
  • 脂漏性皮膚炎
  • 手湿疹・掌蹠膿疱症
  • 薬疹・中毒疹
  • 皮膚潰瘍・下腿潰瘍・褥瘡
    ※難治例や形成外科的治療(皮弁・骨髄炎の評価など)が必要な場合は、形成外科の項目をご参照ください。
  • 保険適用外の疾患は自費診療です。
  • ビタミン剤、トランサミン等は疾患により自費診療、処方です。

湿疹・皮膚炎(しっしん・ひふえん)

【どんな病気ですか?

「湿疹・皮膚炎」は、皮膚に赤み・ブツブツ・かゆみ・カサつきなどが出る病気の総称です。かぶれ(接触皮膚炎)、手湿疹(主婦湿疹)、脂漏性皮膚炎、汗疹(あせも)など、ろいろなタイプがありますが、基本的には「皮膚に炎症が起きている状態」です。

【主な原因

湿疹・皮膚炎は、ひとつの原因だけでなく、いくつかが重なって起こることが多い病気です。

・外からの刺激
洗剤、シャンプー、ヘアカラー、金属(ピアス・時計・ネックレス・ベルトのバックルなど)、 マスク、絆創膏、ゴム、化粧品などの刺激。

・物質に対するアレルギー反応
金属アレルギー、化粧品成分、香料、ゴムなど。

・皮膚のバリア機能の低下
乾燥肌、アトピー素因、過度な洗浄など。

・汗・ムレ・摩擦
マスクの擦れ、下着のゴム部分、靴や靴下のムレなど。

・体質・生活習慣
ストレス、睡眠不足、食生活の乱れ、手をよく洗う仕事など。

【よくみられる症状

・赤いブツブツ・プツプツができる。

・強いかゆみがある。

・かきこわして「じゅくじゅく」したり、かさぶたになる。

・皮膚がカサカサし、皮がポロポロむける。

・慢性的になると、皮膚が厚くゴワゴワしてくる。
同じ「湿疹・皮膚炎」でも、手・顔・首・頭・体・足など、出ている場所によって原因や治療が変わることがあります。

【診断・検査について

診断は、皮膚の状態(見た目)、出ている場所、お仕事や生活習慣、使っている化粧品・薬・アクセサリーなどをていねいにお聞きして進めていきます。
必要に応じて、かぶれの原因を調べるパッチテスト(貼付試験)や、アレルギー体質や他の病気の有無を確認するための血液検査を行うこともあります。

【治療について

・湿疹・皮膚炎の治療は、
①炎症をしずめること、
②原因・悪化要因をできるだけ避けること、
③皮膚のバリア機能を整えること、
の3つが基本になります。

<塗り薬>
・ステロイド外用薬
炎症とかゆみをしっかり抑える薬です。部位や症状に合わせて、強さや剤形(軟膏・クリーム・ローションなど)を調整します。

・保湿剤
乾燥した皮膚をうるおし、バリア機能を整えることで再発予防にも役立ちます。
・必要に応じて、非ステロイド性外用薬や抗菌薬外用剤などを併用することもあります。

<内服薬>
・かゆみを抑える抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬を使用することがあります。
・症状が強い場合には、短期間の内服薬を追加することもあります。

【原因・悪化因子への対策

・刺激になるもの(洗剤、手袋、アクセサリー、化粧品など)を見直します。

・手湿疹の場合は、手袋の選び方やハンドクリームの使い方、 お仕事中の工夫などを一緒に考えていきます。

【生活上の注意

・かゆくても、できるだけ掻きこわさないようにし、冷やす、保湿するなどでかゆみをやわらげましょう。

・熱いお湯やゴシゴシ洗いはさけ、ぬるめのシャワーとやさしい洗浄を心がけます。

・入浴後は早めに保湿を行うと、かゆみや再発予防に役立ちます。

・症状が良くなっても、自己判断で急に薬をやめず、 医師の指示のもとで少しずつ減らしていくことで、再発を防ぎやすくなります。

【当院での湿疹・皮膚炎の診療

日常よくみられる「かぶれ」「手荒れ」「マスクかぶれ」「頭皮のフケ・赤み」などから、慢性的に続く湿疹まで、まずはお気軽にご相談ください。
お仕事や生活背景もお聞きしながら、「塗れば終わり」ではなく、再発を減らすためのケア方法も一緒にお伝えしていきます。
必要に応じて、アレルギー検査やパッチテストなどもご案内いたします。

アトピー性皮膚炎について

【アトピー性皮膚炎とは?

アトピー性皮膚炎は、かゆみの強い湿疹が慢性的に繰り返し現れる皮膚の病気です。

体質的な要因と、環境・ストレス・汗・乾燥などの外的要因が関係していると考えられ
ています。

【主な症状

・強いかゆみ
・赤み、乾燥、粉ふき
・湿疹、じゅくじゅく
・皮膚が厚くなる(慢性化した状態)
・寝ている間にかきこわして出血することもあります

【アトピーの原因

アトピー性皮膚炎はひとつの原因ではなく、以下が複合的に関係します。

・皮膚のバリア機能の低下
・アレルギー素因(体質)
・ダニ・ハウスダスト・花粉などの環境因子
・ストレス、寝不足
・汗、乾燥、摩擦

【治療の基本

アトピーの治療は、「炎症を抑える治療」と「皮膚を守る治療」を組み合わせることが
大切です。

■ ステロイド外用薬
炎症をしっかり抑えるための基本治療です。
部位に合わせて強さを調整します。

■ JAK阻害外用薬(コレクチム)、PDE4阻害外用薬(モイゼルト)
ステロイドではない外用薬で副作用が比較的少ない。

■ タクロリムス外用薬(プロトピック)
顔や首など皮膚の薄い部位に適しています。

■ ヒルドイドなどの保湿剤
皮膚のバリアを守るため、毎日の保湿は最も重要です。

■ 内服薬
かゆみを抑える抗ヒスタミン薬などを使用することがあります。

■ 重症例の治療
デュピクセント、JAK阻害薬などの新しい治療薬が選択できます。

【生活上のポイント

・ぬるめのシャワー、優しい石けんを使用
・入浴後すぐの保湿
・汗をそのままにしない
・寝具・部屋の清掃でダニ対策
・ストレスや寝不足に注意

【よくある質問

Q:ステロイドは使い続けても大丈夫ですか?
A:正しく使えうことが重要です。炎症をきちんと抑えることが治りへの近道です。

Q:治療にどれくらい時間がかかりますか?
A:軽症なら数週間、慢性化している場合は長期的なケアが必要です。いずれも再燃しないよう日頃のケアが必要です。

Q:治らない病気ですか?
A:慢性疾患なので日頃のケアが必要です。子どもでは成長とともに一旦改善することが多く、大人でも適切な治療で症状を大きく減らせます。
内服。外用等でコントロールすることにより再燃、寛解を繰り返すことなくQOLを高く保つことができます。

【まとめ

アトピー性皮膚炎は、治療とスキンケアを続けることで症状を大きく改善できます。
かゆみや湿疹が続く場合は、悪化を防ぐために早めの受診がおすすめです。

 

デュピクセント(Dupixent)治療について

【デュピクセントとは?

デュピクセントは、アトピー性皮膚炎の原因となる炎症反応を抑える生物学的製剤(抗
体医薬)です。

従来の外用薬だけでは十分な改善が得られない中等症~重症のアトピーに使用されます

アレルギー反応に関わるIL-4、IL-13というサイトカインを選択的にブロックすることで
、高い効果を発揮します。

【どんな方に向いている治療?

・外用治療では良くならない方
・かゆみが強く睡眠に支障がある方
・湿疹を繰り返し、皮膚が厚くなっている方
・頭や顔のアトピーが長期化している方
・ステロイドの使用量を減らしたい方
※小児(6ヶ月以上)にも適応があります。

【治療の効果

■ かゆみの軽減が早い(1~2週間)

■ 湿疹が大きく改善(3ヶ月前後)

■ 長期的な寛解を目指せる

多くの方が外用薬の使用量を大幅に減らすことができます。

【治療方法

● 初回:600mg(300mg×2本)皮下注射

● 維持:2週間に1回、300mgを1本

医療機関で注射する方法と、自己注射を選ぶ方法があります。

【安全性と副作用

デュピクセントはステロイドのような全身副作用が出にくい薬です。
・結膜炎、目のかゆみ
・注射部位の赤み
・口唇炎
などがみられることがありますが、多くは軽度で対処可能です。

【費用について(保険適用)

デュピクセントは健康保険が適用されます。
3割負担の自己負担目安:
・初回:約2~3万円
・維持(2週間ごと):約1~1.5万円
※高額療養費制度の適応で負担がさらに軽くなります。

【治療の流れ

1. 診察・重症度の評価

2. 治療内容の説明

3. 初回注射

4. 2週間ごとの継続投与

5. 症状の安定に応じて外用薬を減量

6. 希望に応じて自己注射も可能

【よくある質問

Q:ステロイドはやめられますか?
A:多くの方が使用量を減らせます。ゼロになる方もいます。

Q:いつまで続けますか?
A:症状が安定すれば、間隔をあけたり中止も可能です。

Q:子どもにも使えますか?
A:6歳以上で使用できます。

【まとめ

デュピクセントは、アトピー性皮膚炎の根本的な炎症を抑える、効果と安全性に優れた
治療法です。

長年アトピーに悩まれている方、外用だけで良くならない方は、一度ご相談ください。

 

白癬(はくせん)について

(水虫・爪白癬・たむし・いんきん・頭の白癬)

【白癬とは

白癬(はくせん)は、「白癬菌(はくせんきん)」というカビ(真菌)が皮膚や爪・髪の毛の生え際などに感染して起こる病気の総称です。

・足にできる → 水虫(足白癬)
・爪にできる → 爪白癬(爪の水虫)
・体や顔にできる → 体部白癬(たむし)
・股のあたりにできる → 股部白癬(いんきんたむし)
・頭にできる → 頭部白癬(頭の白癬・しらくも)

など、部位によって呼び名が変わりますが、原因の「白癬菌」は共通です。
いわゆる“虫”ではなく、カビの一種による感染症です。

【足白癬(水虫)

足の指の間、足裏、かかとなどに白癬菌がついて増えた状態です。

● よく見られるパターン
・指の間がふやけて、皮がむけてジクジクする
・土踏まず~足の縁に小さな水ぶくれや赤いブツブツができてかゆい
・かかと・足裏全体がガサガサに厚くなり、ひび割れる(かゆみが少ないことも)

家族内での共用スリッパ・バスマット、ジム・浴場・プールなどが
感染のきっかけになることがあります。

【爪白癬(爪の水虫

足の爪に白癬菌が入り込んだ状態で、多くは水虫から「もらい感染」したものです。

● 主な症状
・爪が白っぽく/黄ばんで濁ってくる
・爪が厚くなり、ボロボロ欠ける
・靴に当たると痛い、違和感がある

自然に治ることは少なく、放置すると他の爪にも広がることがあります。

【体部白癬(たむし)

首・胸・お腹・背中・腕・足など、体や顔にできる白癬です。
赤くて少し盛り上がった円形~環状の発疹で、中心がやや治って周りが赤い輪のようになることが多いのが特徴です。

・かゆみを伴うことが多い
・湿疹やかぶれと間違われることもあります

ペット(犬・猫・ウサギなど)からうつるタイプもあり、ご家族全員に似た発疹が出ることもあります。

【股部白癬(いんきんたむし)

太もものつけ根・陰部まわり・おしりの割れ目近くにできる白癬です。
男性に多く、ムレやすい・汗をかきやすい環境で悪化します。

● 症状の特徴
・太もものつけ根に、赤くてかゆい発疹
・境界がはっきりして、少し盛り上がる
・こすれる場所なので、しみる・ただれることも

性病ではありませんが、下着・タオルの共用などでうつることがあります。

【頭部白癬(頭の白癬・しらくも)

頭皮や髪の毛の生え際にできる白癬です。
小児~学童期に比較的多くみられますが、この年齢層に限らず、成人に生じることもあります。

● 主な症状
・頭の一部の髪が切れ毛になり、まだらに薄く見える
・フケのようなかさつき、赤み
・かゆみ

放置すると炎症が強くなり、あとで毛が生えにくくなることもあるため、「頭の一部だけ髪が薄くなっている・赤い・かゆい」ときは早めの受診がおすすめです。

【診断について

白癬かどうかは、見た目だけでは判断が難しいこともあります。
湿疹、乾癬、かぶれ、別の爪の病気などと似ている場合もあるため、

・皮膚や爪の一部を少量とって顕微鏡で観察する検査(鏡検)

で白癬菌がいるかどうかを確認してから、治療方針を決めます。

【治療

● 皮膚の白癬(足白癬・体部白癬・股部白癬・頭部白癬)

基本は、抗真菌薬の外用薬(ぬり薬)による治療です。

・症状が出ている部分だけでなく、その周囲も含めて毎日塗る
・かゆみや赤みがよくなっても、一定期間は塗り続ける

頭部白癬や、範囲が広い場合、炎症が強い場合などは内服薬(飲み薬)による治療が必要になることもあり、状態を見ながら治療法を選びます。

● 爪白癬

・ごく軽い例 → 爪用の抗真菌外用薬で治療する場合があります。
・爪の変化が強い・複数の爪に広がっている → 内服薬による治療を検討します。

爪は伸びるスピードが遅いため、数か月単位の治療が必要になることが多く、根気よく続けることが大切です。

【市販薬との違い・受診のタイミング

市販の水虫薬で良くなる場合もありますが、

・そもそも白癬ではなかった
・足だけ治して、爪・体・股の白癬が残っている
・塗る期間が足りず、すぐ再発してしまう

といったケースもよく見られます。

次のようなときは、一度皮膚科での診察をおすすめします。

・「水虫かな?」と思って市販薬を使っているが、良くなったり悪くなったりを繰り返している
・爪の色が変わってきた、厚くなってきた
・股のつけ根・体・顔に赤くてかゆい輪のような発疹がある
・お子さんやご家族の頭の一部だけ、髪が切れて薄く見える・赤い
・家族や同居の方に水虫・爪白癬・たむしなどがいて心配な場合

白癬は「ちゃんと診断して、適切な薬を、適切な期間続ける」ことで、コントロールしやすくなる病気です。気になる症状があれば、早めにご相談ください。

 

蕁麻疹(じんましん)・血管浮腫(けっかんふしゅ)

【どんな病気ですか?

蕁麻疹は、皮膚にかゆみの強い、みみず腫れのようなふくらみ(膨疹)や、赤み・ブツブツが突然あらわれ、数十分~24時間以内にあとかたなく消えるのが特徴です。

これに対して血管浮腫は、皮膚のもっと深いところが腫れるタイプの蕁麻疹で、まぶた・くちびる・ほほ・手足・陰部などが、ぼこっと深く腫れあがります。
触るとやわらかく、むくみのようにぷよっとしていることが多く、かやみよりも「はれる感じ」「重い感じ」が目立つことがあります。

【血管浮腫で特に注意が必要な場所

血管浮腫は、表面だけでなく、のど(咽頭・喉頭)や舌の周りにも起こることがあります。
のどがつまる感じ、声がかすれる、息苦しい、飲み込みにくい、舌が腫れてうまくしゃべれない、などの症状がある場合は、命に関わることもあるため、救急での対応が必要になることがあります。

【原因について

蕁麻疹・血管浮腫の原因はさまざまです。
・食べ物:卵、乳製品、小麦、甲殻類、魚、ナッツ類など
・薬:解熱鎮痛薬、抗生物質、降圧薬など
・感染症:かぜ、扁桃炎、ウイルス感染など
・物理的な刺激:寒冷、日光、圧迫、摩擦など
・ストレス、疲れ、寝不足
・特にきっかけが分からない「特発性」のもの

血管浮腫については、次のようなタイプがあります。
・蕁麻疹と一緒に出てくるタイプ
多くはアレルギー反応やヒスタミンが関わるタイプで、
蕁麻疹と同様の治療(抗ヒスタミン薬など)で改善していきます。
・一部の血圧の薬(ACE阻害薬など)によるもの
・非常にまれですが、遺伝性(遺伝性血管性浮腫:HAE)によるもの
くり返す強い血管浮腫で、家族歴がある場合などに疑います。

【どんな症状のときに受診すべき?

・毎日のように蕁麻疹が出たり消えたりをくり返している
・みみず腫れだけでなく、くちびる・まぶた・ほほ・手足などが深く腫れあがる
・同じ部分の腫れを何度もくり返す
・血圧の薬(とくにACE阻害薬など)を飲み始めてから、顔やくちびるが腫れやすくなった
・のどや舌の腫れ感、息苦しさを伴う

このような場合は、早めにご相談ください。
息苦しさ、声の変化、急激なのどの腫れを感じた場合は、救急外来の受診が必要なことがあります。

【検査について

問診と診察が基本になります。
皮疹の出方、続いている期間、食事や薬、感染症、ストレス、生活習慣、
血圧の薬やサプリメントの有無などを詳しくお聞きします。

長く続く場合や、くり返す血管浮腫の場合には、アレルギー検査(特定の原因が疑われるとき)や血液検査(炎症、自己免疫、補体などのチェック)を行い、まれなタイプの血管浮腫(遺伝性など)が隠れていないかを確認することもあります。

【治療について

<蕁麻疹の治療>
基本は、抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬の内服を中心に行います。
必要に応じて、短期間のステロイド内服や外用、
原因や悪化因子がはっきりしている場合には、その回避も大切です。

長く続く「慢性蕁麻疹」の場合は、内服薬の調整や、生物学的製剤(抗IgE抗体薬など)を検討するケースもあります。

<血管浮腫の治療>
蕁麻疹を伴う、いわゆるアレルギー性の血管浮腫では抗ヒスタミン薬を中心とした治療が基本になります。
薬剤(とくに血圧の薬など)が原因と考えられる場合は、内科と連携しながら、原因薬剤の中止や変更を行います。
遺伝性血管性浮腫など、特殊なタイプが疑われる場合には専門的な検査や専門施設との連携が必要になることがあります。

【当院での蕁麻疹・血管浮腫の診療

突然の蕁麻疹から毎日くり返す慢性蕁麻疹まで、症状の経過、生活背景、内服薬などを含めて丁寧にお聞きしながら治療方針を一緒に考えていきます。

特に、顔のむくみ、くちびる、まぶたの腫れなど、血管浮腫が疑われる場合には「危険なサイン」がないかどうかをしっかり確認します。

受診の際には、可能であれば蕁麻疹や血管浮腫が出現しているときの写真(スマートフォンで構いません)と、出現した時間帯や日にち、前後の状況などをメモにしてお持ちください。
診断や治療方針を考えるうえで、大きな助けになります。

必要に応じて、アレルギー検査や血液検査、内科・専門施設との連携も含めてご説明いたします。

 

 

 

 

 

ニキビ(尋常性ざ瘡)治療について

【ニキビとは?

ニキビは毛穴に皮脂や角質がたまり炎症を起こす皮膚の病気です。

思春期だけでなく大人にも多く、ストレス・ホルモンバランスの乱れ・睡眠不足・マス
クの摩擦などが関与します。

【ニキビの種類

・白ニキビ(閉鎖面皰)
・黒ニキビ(開放面皰)
・赤ニキビ(丘疹・膿疱)
・しこり(結節)
・ニキビ跡(赤み・色素沈着・凹凸)

【原因

・毛穴のつまり
・皮脂分泌過多
・アクネ菌の増殖
・生活習慣の乱れ
・ストレス・摩擦

【当院のニキビ治療

◆ 保険診療

■ 外用薬
・アダパレン(ディフェリン)
・過酸化ベンゾイル(ベピオ・デュアック)
・抗生剤外用

■ 内服薬
・抗生剤内服(ミノサイクリン等)
・ビタミン剤

◆ 自由診療(当院オリジナルのニキビ・ニキビ跡プログラム)

■ ケミカルピーリング
古い角質を除去し、毛穴詰まりを改善。白ニキビ・黒ニキビに有効。

■ ハイドラフェイシャル
水流と吸引で毛穴を徹底洗浄。ざらつき・黒ずみ・繰り返すニキビに最適。

■ エコツー(CO2フラクショナルレーザー)
ニキビ跡の凹凸・クレーターに非常に効果的。皮膚の再生を促進。

■ ダーマペン
微細針で肌の再生力を高め、赤み・軽度の凹凸・色素沈着に有効。

■ クラリティーレーザー
赤み・炎症型ニキビ・色素沈着に効果。毛穴縮小や肌質改善にも使用。

【生活指導

・洗いすぎない(1日2回)
・保湿をしっかり
・マスクの摩擦に注意
・睡眠・食生活を整える
・メイクは、メイク落としを使ってていねいに落とす

【よくある質問

Q:自然に治りますか?
A:跡が残る前に治療した方がきれいに治ります。

Q:保険治療と自費治療の違いは?
A:保険は「炎症を抑える」、自費は「早く・きれいに・跡を残さず治す」治療です。

Q:大人ニキビも治りますか?
A:原因に合わせた治療で十分改善できます。

【まとめ

ニキビは必ず改善できる病気です。
「繰り返す」「跡が残りそう」「早く治したい」方は当院へご相談ください。

 

 

皮膚良性腫瘍(粉瘤・脂肪腫・いぼ・ほくろ など)

【どんな病気ですか?】

皮膚にできる「できもの」の多くは、がんではない良性腫瘍です。

ゆっくり大きくなったり、見た目が気になったり、場所によっては衣服やアクセサリーに引っかかって痛みが出ることもあります。

気になるできものがある場合は、自己判断でつぶしたり切ったりせず、まずはご相談ください。
これらの皮膚良性腫瘍の詳しい治療法につきましては、「形成外科」の項目もあわせてご参照ください。

■粉瘤(ふんりゅう/アテローム)

皮膚の下に袋状のものができ、その中に角質や皮脂がたまる「できもの」です。
初めはコロッとしたしこりだけですが、しだいに大きくなったり、炎症を起こすと赤く腫れて強い痛みを伴うことがあります。

・よく見られる部位:顔、首、背中、耳の後ろ、わき など
・主な症状:皮膚の下のコリコリしたしこり、時に中央に黒い点(出口)
・治療:袋ごと取り除く小手術(切除・くり抜き法など)が基本です。
中身だけを押し出すと再発の原因になるため、医療機関での治療をおすすめします。

■ホクロ(色素性母斑)

生まれつき、または成長とともに現れる色素性の良性腫瘍です。
多くのホクロは問題ありませんが、形・色・大きさの変化がある場合には注意が必要です。

・注意が必要なサインの一例
– 急に大きくなってきた
– 形がいびつになってきた
– 色が濃くなったり、まだらになってきた
– 出血したり、繰り返しかさぶたになる

・治療:良性と判断される場合でも、整容的な理由で切除やレーザー治療を行うことがあります。

■ 脂肪腫

皮膚のもう少し深いところに、柔らかい脂肪の塊ができる良性腫瘍です。
多くは痛みがなく、ゆっくりと大きくなります。

・よく見られる部位:肩、背中、腕、太もも など
・主な症状:やわらかく動くしこり
・治療:大きさや場所、見た目が気になる場合には、局所麻酔で切除します。

■ 脂漏性角化症(老人性いぼ)

加齢に伴い増えてくる、茶色~黒色の「盛り上がったシミ」のような良性腫瘍です。
「年齢とともに増えるいぼ」としてよく見られます。

・よく見られる部位:顔、頭皮、体幹 など
・主な症状:少しザラザラした、平たい~盛り上がった斑点
・治療:不要な場合は経過観察で構いませんが、
見た目が気になる場合には液体窒素(凍結療法)やレーザーなどで除去することがあります。

■ 首の小さなイボ(スキンタッグ)

首まわりやわきに出てくる、糸くずのような小さなぶら下がりいぼです。
摩擦や汗、金属アクセサリーなどの刺激をきっかけに増えることがあります。
・主な症状:1~数mm程度の小さいぶら下がったいぼが多数
・治療:はさみでの切除、焼灼、レーザーなどでひとつずつ除去します。

■ 稗粒腫(はいりゅうしゅ)

目のまわりなどにできる、白~乳白色の小さな「白いぶつぶつ」です。
皮膚の浅いところに角質がたまることによってできる良性の嚢腫です。
・よく見られる部位:まぶた、頬 など
・主な症状:数mm以下の白い粒がポツポツとある
・治療:細い針で小さく穴を開け、中身を出す処置を行うことがあります。

■ 皮膚線維腫

下腿などによく見られる、少し硬めの小さなしこりです。
押すと少しくぼむように見えることが特徴のひとつです。

・よく見られる部位:脚(特にすね) など
・主な症状:数mm~1cm前後の硬めの結節
・治療:多くは経過観察でよい良性腫瘍ですが、
見た目や触れた時の違和感が気になる場合には切除することもできます。

◆ こんなときはご相談ください

・「ただのいぼ」と言われたが、最近大きくなってきた
・服や下着に引っかかって痛い、出血する
・見た目が気になり、日常生活やおしゃれが制限されている
・がんではないか心配 など

皮膚の「できもの」は、見た目が似ていても、種類によって治療方法が異なります。
気になるしこりやいぼ、ホクロがありましたら、早めにご相談ください。

 

 

イボ・ミズイボ(ウイルス性疣贅・伝染性軟属腫 など)

【どんな病気ですか?】

一般に言う「イボ」の多くは、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)というウイルスが、皮膚に感染して生じるウイルス性疣贅です。
一方、「ミズイボ」は伝染性軟属腫ウイルスの感染で、表面がつるっとした小さなブツブツが多発する病気です。

・子どもの手足・ひざ・足裏にできる「イボ」
・足の裏の痛いイボ(魚の目と間違えられやすい)
・顔や体幹、わき・胸・おなかなどに多発する「ミズイボ」

【うつる病気です】

イボもミズイボも、ウイルス性の感染症です。

家族間での接触、プール・体育館・格闘技・器具の共用、かいたり、触ったりすることで、自分の皮膚の別の場所に広がることがあります。

「そのうち治るかな…」と様子を見ている間に増えてしまい、数が多くなってからの治療のほうがかえって大変になることもあります。

【よく見られるタイプ】

・尋常性疣贅(いわゆる普通のイボ)
手足の甲・指・ひざなどにできる、表面がザラザラしたイボです。

・足底疣贅(足裏のイボ)
足の裏にでき、体重がかかるため押すと痛みがあります。
皮が厚くなり、タコ・ウオノメと間違えられやすいタイプです。

・扁平疣贅(顔や手背の平らなイボ)
若い方の顔・手の甲などに、少し盛り上がった平らな小さいブツブツが多数出ます。

・伝染性軟属腫(ミズイボ)
表面がツルっとした、少し光沢のある小さな丸いブツブツが多発します。
特に小児に多く、プールやスイミングでうつることがあります。

【受診の目安】

・数がだんだん増えてきた
・痛みがある(特に足裏)
・顔や手など目立つ場所に出てきて気になる
・子どものミズイボが増えてきた、かゆくてかいてしまう
・市販薬を試してもあまり変わらない

このような場合は、早めに皮膚科・形成外科での治療をご相談ください。

【治療について】

イボ・ミズイボの治療は、ウイルスのいる部分の皮膚を少しずつ壊して、体の免疫反応をうながすことが基本です。
代表的な治療法は、年齢・部位・数・痛みの程度などで使い分けます。

・液体窒素療法(凍結療法)
綿棒やスプレーで液体窒素を当て、イボの組織を凍らせる方法です。
1~2週間ごとに何回か通院が必要になることがあります。

・切除・くり抜き・レーザー治療
大きいもの、再発をくり返すもの、痛みが強い足底疣贅などでは、
局所麻酔をして、切除・くり抜き・レーザーで焼灼する治療を選ぶこともあります。

・ヨクイニン(漢方薬)などの内服
特に小児の多発するイボで、体質改善を期待して併用することがあります。

・ミズイボの摘除(ピンセットなどで取る方法)
特に小児のミズイボで、数が限られている場合に行います。
表面麻酔のクリームやシールを使用して、痛みをできるだけ軽くする工夫をします。

【当院でのイボ・ミズイボの診療】

イボ・ミズイボは、放置しているうちに広がってしまうことが多い病気です。
お子さまの場合は、痛みへの配慮をしながら、治療の方法やペースをご相談します。
足裏のイボなど、歩行に影響するものは、痛みを減らしつつ、再発を抑える治療を一緒に考えていきます。
見た目が似ていても、タコ・ウオノメ・ほくろ・皮膚腫瘍など、イボではない別の病気の場合もあります。

気になる「できもの」があれば、自己判断をなさらず、一度ご相談ください。

 

尋常性乾癬(かんせん)について

【尋常性乾癬とは?】

乾癬は、皮膚の細胞が過剰に増えて赤い発疹と白い皮膚のめくれ(鱗屑)が現れる慢性
の皮膚病です。

免疫の異常が関係していると考えられ、人にうつる病気ではありません。

【主な症状】

・赤い盛り上がり(紅斑)
・白いかさぶたのような皮膚(鱗屑)
・かゆみを伴うことがある
・肘、膝、頭などにできやすい
・爪の変形や関節痛が起こることも

【原因】

複数の要因が関係します。
・免疫異常(炎症反応が過剰)
・遺伝的素因
・ストレス、疲労
・肥満、糖尿病
・薬剤(βブロッカーなど)
・感染症

【治療について】

症状の重症度により段階的に治療を行います。

■ 外用療法

・ステロイド外用薬
・活性型ビタミンD3外用薬
基本となる治療です。

■ 光線療法

ナローバンドUVBなどで皮膚の炎症や細胞の増殖を抑えます。

■ 内服療法

重症例や広範囲に症状がある場合に使用します。


【最新の治療:生物学的製剤】


乾癬に関わる特定の炎症物質をピンポイントで抑える注射治療です。
高い効果と安全性が期待できます。

【標的による分類】

● IL-17を抑える薬
・コセンティクス(セクキヌマブ)
・トルツ(イキセキズマブ)
・ビンゼレックス(ブロダルマブ)

● IL-23を抑える薬
・スキリージ(リサンキズマブ)
・イルミア(チルドゥマブ)
・トレムフィア(グセルクマブ)

● IL-12/23を抑える薬
・ステラーラ(ウステキヌマブ)

● IgE/IL-4/13など免疫調整

症状に応じて適宜選択します。


【新しい内服治療】


■ JAK阻害薬
・リンヴォック®(ウパダシチニブ)
免疫反応を調整し、炎症を抑制します。

【生活上の注意点】

・保湿をしっかり行う
・刺激になる掻きむしりを避ける
・肥満、ストレス、喫煙を改善
・十分な睡眠、運動習慣

【よくある質問】

Q:うつりますか?
A:うつりません。安心してください。

Q:治る病気ですか?
A:慢性疾患ですが、治療により大きく改善できます。

Q:関節も痛いのですが?
A:乾癬性関節炎の可能性があり、生物学的製剤が特に有効です。

【まとめ】

尋常性乾癬は最新治療により、症状を大きく改善できる時代です。
お困りの際はお気軽にご相談ください。

 

 

 

多汗症(ワキ汗・手汗・足汗)

【多汗症とは?】

多汗症は、気温や宇野津とは関係なく、日常生活に支障が出るほど汗が多く出てしまう病気です。

とくに、
・ワキ(腋窩多汗症)
・手のひら(手掌多汗症)
・足のうら(足底多汗症)
に多くみられます。

「ワキだけいつもびっしょり濡れる」「手汗で書類やスマホが湿ってしまう」「足汗で靴の中が蒸れて気持ち悪い」
といったお悩みは、性格や清潔さの問題ではなく、きちんと治療できる”病気”かもしれません。

【主な症状】

・ワキの汗じみが目立って、服の色や素材を選ばざるを得ない
・手のひらに常に汗がにじみ、握手・パソコン作業・スマホ操作がつらい
・足の裏がいつも湿っていて、着くやサンダルが滑りやすい、蒸れやすい
・緊張すると一気に汗が吹き出し、人前に出るのが憂うつになる

このように、汗のために学校・仕事・人間関係に影響が出ている場合は、多汗症として積極的な治療の対象になります。

【原因・タイプ】

◆原発性多汗症(体質によるもの)

・思春期から若年成人頃から気になり始めることが多い
・特定の部位(腋。手のひら、足のうらなど)に、左右対称に汗が多い
・寝ている間はあまり汗をかかないことが多い
・はっきりした原因疾患はありませんが、自律神経のバランスなどが関与すると考えられている

◆続発性多汗症(ほかの病気や薬が原因)

・甲状腺機能亢進症、糖尿病、更年期障害、感染症など
・全身性に汗が増えることが多い
・一部のお薬(抗うつ剤など)が原因となる場合もあります

当院では、問診や必要に応じて血液検査などを行い、拝啓に病気が隠れていないか核にしたうえで治療方針を決めて行きます。

【診断】

・どの部位に、いつ頃から、どの程度の汗が出るか
・生活(学校、仕事、対人関係)への影響の程度
・夜間の発汗やっ全身症状の有無
・服の汗じみ、皮膚の状態などの診察
・必要に応じて、多汗症の重症度スコア(HDSSなど)を用いて評価します。

【当院の多汗症治療】

◆腋窩多汗症の治療

最近は、ワキの多汗症に対して「効果の高い保険適用の外用薬」が使えるようになり、まずお薬でしっかりと汗のコントロールを目指すことができるようになっています。

■保険適用の外用薬(第一選択:ワキ)
ワキ専用の外用薬で、汗を出す神経の働きをおさえてワキ汗を減らすお薬です。

・ラピフォートワイプ
使い切りのワイプタイプで、方ワキずつふき取るだけの簡便な治療です。
外出先でも使いやすく「服の汗じみが気になる方」にも向いています。

保険診療で使用できる比較的新しいお薬で「市販の制汗剤では不十分だった方」にとって有力な選択肢となります。
効果やかぶれなどの副作用を見ながら、使用方法を医師と一緒に調整していきます。

■内服薬(必要に応じて)
・汗を出す神経の働きを全身的におさえる飲み薬を併用することがあります。
・口の渇き、便秘、尿が出にくいなどの副作用が出ることがあるため、少量から身長に調整します。
・ワキ以外にも手汗、足汗が強い方に検討します。

■ボツリヌス毒素注射
・ワキの皮膚に少量ずつボツリヌス毒素を注射し、汗を出す働きを一定期間弱める治療です。
・効果は数ヶ月持続し、必要に応じて繰り返し行います。
・痛み、ダウンタイム、費用面なども含め、適応のある方に詳しくご説明します。

【手のひら・足のうらの多汗症】

◆手掌多汗症(手汗)の治療

■保険適用の外用薬(手のひら)
・アポハイドローション
手のひらの多汗症に対して用いる「汗をおさえるためのお薬」です(においの薬ではありmせん)。
手のひら全体に塗り広げやすく、毎日決められた回数、量を継続していただくことで、手汗のコントロールが期待できます。

 

◆足底多汗症(足汗)

手掌・足底多汗症の場合も、外用薬や内服薬を組み合わせながら、症状や生活内るに合わせた治療を検討します。

イオントフォレーシス(微弱な電話を用いる治療)など、より専門的な機器を用いた治療が適しているケースについても、患者さんのご希望や日常生活への影響を考慮しながら、洗濯しの一つとしてご相談させていただきます。

・ワキ、手のひら、足のうらなどに塗布し、汗腺の出口をふさぐことで発汗を抑える外用薬です。

・比較的始めやすい治療で、化粧から中東翔の多汗症の方や、保健薬と併用してコントロールを目指したい方にも選択肢となります。

・皮膚の赤み、かゆみ、ヒリヒリ感などの刺激症状があるため、濃度、使用頻度を調整しながら医師の指導のもとでご使用いただきます。

具体的な使用方法は、診察時にご説明いたします。

【生活上の工夫】

・睡眠不足やストレスは発汗を増やす原因となるため、生活リズムを整えることも大切です。

・吸汗、速乾性の高いインナーや通気性のよい衣類を選ぶと、汗じみや不快感を軽減できます。

・制汗剤を何種類も重ねて使うと、かぶれや湿疹の原因になることがあります。皮膚トラブルがあれば早めにご相談ください。

【よくある質問

Q:市販の制汗剤だけで様子を見てもいいですか?
A:軽い症状であれば、市販の制汗剤でコントロールできる場合もあります。
しかし、汗じみの為に㋒h区選びが制限される、手汗・足汗で勉強や仕事に支障がある、人前に出るのが苦痛になる、といった場合には、保険で使えるラピフォートワイプやアポハイドローションなど、より効果的な治療法があります。一度ご相談いただくことをおすすめします。

Q:性格や精神的な問題だと言われたことがあります。
A:緊張やストレスで汗が増えることはありますが、多汗症は「気の持ちよう」で片づけるべき問題ではありません。医学的に認められた病気であり、診断・治療の対象です。気になる汗があれば、遠慮なくご相談ください。

【まとめ】

最近は、ワキの多汗症に対して保険適用の良い外用薬(ラピフォートワイプ)、手のひらの多汗症に対してアポハイドローションが登場し、自費お塩化アルミニウムローションも含めると、治療の選択肢が大きく広がっています。
「体調だから」とあきらめず、気になる汗がある方は、お気軽にご相談ください。

 

 

腋臭症(わきが)〔皮膚科〕

わきの汗に含まれる成分が皮膚の細菌によって分解され、特有のにおいを生じる状態を腋臭症(わきが)」と呼びます。体質によるものですが、においの程度によっては、学校や仕事・対人関係で大きな悩みになることも少なくありません。

【皮膚科で行う主な対策】

腋臭症の治療は、まず日常ケアと皮膚科的な保存的治療から検討します。

・生活・スキンケアの工夫
– わきの清潔を保つ(こまめな洗浄・汗のふき取り)
– 通気性の良い衣類の選択 など

・外用薬・制汗剤による対策
– 汗を抑える外用剤
– においの原因となる細菌の増殖を抑える外用剤

・ボツリヌス毒素注射などによる発汗のコントロール
※適応や方法、保険診療・自由診療の扱いについては診察時にご相談ください。

これらの方法で、においの程度や日常生活での困りごとがどの程度改善するかを確認しながら、治療方針を検討していきます。

【手術治療について】

腋臭症は、わきの下に多い「アポクリン汗腺」が主な原因とされています。

・アポクリン汗腺からの汗自体は無臭ですが、皮脂や皮膚表面の細菌と混ざることで強いにおいとなります。
・遺伝的な要素も関係していると考えられており、家族にも同じ悩みを持つ方がいることがあります。
・思春期以降に目立ってくることが多く、ホルモンバランスも影響するとされています。

【日常生活でできる対策・保存的な治療】

軽症~中等症の場合、次のような方法で症状がある程度軽くなることもあります。

・わきの清潔を保つ(毎日のシャワー・入浴)
・汗をかいた衣類は早めに着替える
・制汗剤やにおい対策スプレーの使用
・病院で処方する外用薬による治療
・ボトックス注射などによる汗の量のコントロール(自費診療となることがあります)

これらの方法で十分にコントロールできない場合や、においの悩みが強い場合には、根本的ににおいの原因となる汗腺を減らす手術治療を検討します。

【手術治療について】

においが強く、より根本的な改善をめざしたい場合には、汗腺を直接減らす手術治療が選択肢となることがあります。手術治療の適応や方法、メリット・デメリット、ダウンタイムなどの詳細につきましては、形成外科の項目で詳しくご説明します。

 

 

脱毛症について

髪の毛が以前よりも「細くなった」「抜けやすくなった」「地肌が目立つようになった」と感じる状態をまとめて「脱毛症」と呼びます。
原因やタイプによって、治療の考え方が大きく変わるため、まずは「どのタイプの脱毛か」を見極めることが大切です

■ 円形脱毛症

突然、コインのような丸い脱毛斑ができるタイプの脱毛症です。1か所だけのこともあれば、複数個できたり、広がっていくこともあります。

・原因
自己免疫の関与が考えられていますが、はっきりとは分かっていません。

・主な症状
– 頭皮の一部が円形・楕円形にすべすべと抜ける
– 眉毛やまつ毛などに出ることもあります

・治療
ステロイド外用薬や局所療法に加えて、状態によっては内服薬を用いることもあります。脱毛の範囲や経過、年齢などによって治療方法が変わるため、まずは皮膚科での診察・評価が重要です。

■ 男性型脱毛症(AGA)

主に男性にみられる「生え際や頭頂部の髪が、少しずつ細く・薄くなっていく」タイプの脱毛症です。男性ホルモンの働きや遺伝が関係しているといわれています。

・よく見られるサイン
– 生え際が後退してきた
– 頭頂部の地肌が透けて見える
– 家族にも同じような薄毛の方がいる

進行性のため、「様子を見ているうちに少しずつ進んでいた」というケースも少なくありません。早めの対策が、将来残せる髪の量にも影響してきます。

■ 女性型脱毛症(FAGA)

女性にみられる「分け目や頭頂部を中心に、全体的にボリュームが減ってくる」タイプの脱毛症です。ホルモンバランスの変化や加齢、体質、ストレスなど、さまざまな要因が関係するといわれています。

・よく見られるサイン
– 昔に比べて、髪のハリ・コシがなくなった
– 分け目の地肌が前よりも目立つ
– 髪の毛1本1本が細くなってきた

AGAと同様に、ゆっくりと進行することが多く、「年齢のせい」と思ってそのままにされている方も少なくありません。

■当院で行っている自費治療(料金の目安)

当院では、脱毛症のタイプや全身状態を確認したうえで、自費診療として以下のような治療を組み合わせてご提案しています。

【外用治療(ミノキシジル:ヴェラルティス)】
・ミノキシジル外用薬 ヴェラルティス15%
1本 5,000円
・ミノキシジル外用薬 ヴェラルティス7%
1本 4,400円

毛包への血流を促し、発毛・育毛をサポートする目的で使用する外用薬です。濃度や使用頻度、副作用の可能性(頭皮のかぶれ・ほてり など)については、診察時にご説明いたします。

【内服・サプリメント治療】
・パントガール内服
1箱(30日分) 11,000円

髪や爪の健康をサポートする成分を含むサプリメントで、びまん性脱毛などに用いられることがあります。

・フィナステリド内服(男性のAGA)
30日分 6,600円

男性ホルモンの一部の働きを抑えることで、AGAの進行を抑えることを目的とした内服薬です。服用できるのは男性のみで、副作用の説明を含め、十分なインフォームドコンセントが必要です。

■自費治療の一例

患者様の年齢・体質・脱毛のタイプによって、実際の治療内容は個別に調整しますが、当院では次のような組み合わせで治療を行うことが多くあります。

【男性】AGA治療の例

治療例1(しっかり発毛を目指したい方)
・フィナステリド内服 30日分 6,600円
・パントガール内服 30日分 11,000円
・ヴェラルティス15%(ミノキシジル外用薬) 1本 5,000円
→ 月あたり合計目安:22,600円前後

治療例2(まずは基本的なAGA治療から始めたい方)
・フィナステリド内服 30日分 6,600円
・ヴェラルティス7%(ミノキシジル外用薬) 1本 4,400円
→ 月あたり合計目安:11,000円前後

【女性】FAGA・びまん性脱毛の治療例

治療例1(サプリ+外用の標準的な組み合わせ)
・パントガール内服 30日分 11,000円
・ヴェラルティス7%(ミノキシジル外用薬) 1本 4,400円
→ 月あたり合計目安:15,400円前後

治療例2(外用薬のみで開始するケース)
・ヴェラルティス7%(ミノキシジル外用薬) 1本 4,400円
→ 月あたり合計目安:4,400円前後

■診察と料金について

脱毛症治療薬の処方には医師による診察が必要です。
お薬の処方は、1回の診察で最長3ヶ月分まで可能です。

・初診料:3,300円
・再診料:1,500円
・薬剤処方料:1,060円

※上記に、自費のお薬代(ヴェラルティス・パントガール・フィナステリドなど)が加わります。
※いずれも自費診療(保険適用外)となります。料金は変更となることがありますので、最新の金額は窓口でご確認ください。

 

 

 

帯状疱疹(たいじょうほうしん)について

【帯状疱疹とは】

帯状疱疹は、水ぼうそうの原因となる「水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)」が原因の病気です。
子どものころに水ぼうそうにかかった後、ウイルスは体の中の神経節にひそんでいます。
加齢や疲労、ストレス、病気などで免疫力が下がったときにウイルスが再び活動を始め、
神経に沿って片側だけに帯状に水ぶくれができるのが帯状疱疹です。

【主な症状】

・体の片側に、ピリピリ・ヒリヒリした痛みや違和感
・そのあとに同じ場所に出てくる赤い斑点や小さな水ぶくれ
・顔、胸、背中、お腹、腰など、からだのどこにでも起こり得ます
・発熱やだるさを伴うこともあります

皮膚の発疹は通常 2~4週間ほどで治まりますが、痛みだけが長く続く場合があります。

【帯状疱疹後神経痛(PHN)について】

帯状疱疹が治ったあとも、痛みが3か月以上続く状態を「帯状疱疹後神経痛(たいじょうほうしんごしんけいつう:PHN)」といいます。

・触れただけでも強く痛む
・服がこすれるだけでビリッと電気が走るように痛む
・夜眠れないほど痛む

といったつらい症状が長く続くことがあり、とくに高齢の方ではリスクが高いとされています。

【早めに受診したほうがよい理由】

帯状疱疹は、発疹が出てからできるだけ早く(できれば72時間以内)治療を開始することが重要とされています。

・ウイルスの増殖を抑えるお薬(抗ウイルス薬)を早く始めることで、発疹の治りを早めたり、痛みが長く残るリスクを抑えられる可能性があります。
・皮膚の発疹が軽く見えても、痛みが強い場合があります。

虫さされや湿疹のように見えても、片側に帯状に広がる発疹とピリピリする痛みがある場合は、早めの受診をおすすめします。

【帯状疱疹の治療】

◆ 抗ウイルス薬による治療
帯状疱疹の基本的な治療は、ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬です。

●内服薬(飲み薬)
例)バラシクロビル(バルトレックス®)、アシクロビル、アメナリーフ®(アメナメビル)など

通常、発疹が出てからできるだけ早く(できれば3日以内)内服を開始し、数日~1週間程度の内服を続けます。

◆ アメナリーフ(アメナメビル)について

アメナリーフは、帯状疱疹の治療に用いられる内服の抗ウイルス薬です。

・1日1回の内服で治療ができるのが特徴です。
・従来の抗ウイルス薬と同様に、発疹が出てからできるだけ早く飲み始めることが大切です。
・腎機能やほかのお薬との飲み合わせなど、体の状態に合わせて使用の可否を判断します。

どの抗ウイルス薬を選ぶかは、年齢、腎機能・肝機能などの臓器の状態、ほかに飲んでいるお薬、発疹や痛みの強さなどを総合的に見て医師が判断します。

◆ 痛みの治療

帯状疱疹では、痛みのコントロールも非常に重要です。

【1】一般的な痛み止め
・アセトアミノフェン
・NSAIDs(ロキソプロフェンなど)

よく使われる鎮痛薬で痛みを和らげます。

【2】神経障害性疼痛に対するお薬
神経がダメージを受けて起こる「神経障害性疼痛」のタイプの痛みには通常の鎮痛薬だけでは不十分なことがあります。

その場合には、
・神経の痛みをやわらげる専用のお薬(メラリーフ®、タリージェ® などの神経障害性疼痛治療薬)
・必要に応じて、気分の落ち込みや不眠に対するお薬
などを組み合わせて、痛みが我慢できない状態にならないように調整します。
内服薬の選択や量は、年齢や持病、ほかのお薬との飲み合わせなどを考慮して決めます。

【帯状疱疹ワクチン(予防接種)について(簡略版)】

帯状疱疹は一度かかっても、免疫力が落ちると再発することがあります。
50歳以上の方では、帯状疱疹や帯状疱疹後神経痛のリスクが高くなるため、予防接種(ワクチン)という選択肢があります。

◆ ワクチンの種類

現在、帯状疱疹ワクチンには大きく分けて次の2種類があります。

・生ワクチン(従来型のワクチン)
皮下注射で1回接種します。

・不活化ワクチン(組換えワクチン)
筋肉内に2回接種します(1回目のあと、通常2か月以上あけて2回目を接種し、遅くとも6か月以内に2回目を打ちます)。

いずれのワクチンも、帯状疱疹の発症を減らし、帯状疱疹後神経痛のリスクを下げることが報告されています。

◆ 対象となる方の目安

・主に50歳以上の方が対象とされています。
とくに、
・帯状疱疹を以前に経験して、とてもつらかった方
・糖尿病などの持病がある方
・免疫力の低下が心配な方
などは、ワクチン接種を検討する価値があります。

ただし、持病や治療内容によっては接種できない場合もありますので、接種の可否やワクチンの種類は、必ず医師と相談して決めてください。

◆ 費用について

帯状疱疹ワクチンは、現時点では原則として任意接種(自費)です。
お住まいの自治体によっては、一部助成制度がある場合もあります。

くわしい費用や助成の有無については、お住まいの市区町村、または医療機関にお問い合わせください。

【よくあるご質問(Q&A)】

Q:帯状疱疹はうつりますか?
A: 帯状疱疹そのものは「帯状疱疹として」うつるわけではありませんが、まだ水ぼうそうにかかったことのない人やワクチン未接種の人が、帯状疱疹の水ぶくれの中のウイルスに触れると水ぼうそうとして発症することがあります。そのため、水ぶくれの部分はガーゼなどで覆い、触ったあとはよく手洗いをしましょう。

Q:痛みが強くないので様子を見ても大丈夫ですか?
A: 痛みが軽くても、早めに抗ウイルス薬を始めることが大切です。「少し赤くてかゆいだけ」「虫さされかも?」と思っていても片側に帯状に発疹が出てきた場合は、早めの受診をおすすめします。

Q:帯状疱疹になったら必ず後遺症の痛みが残りますか?
A: すべての方に痛みが残るわけではありません。ただし高齢の方では、数か月~数年、痛みが続くこともあるとされています。早めの治療と、適切な痛みのコントロールで、後遺症のリスクを少しでも下げることが期待できます。

Q:帯状疱疹ワクチンは、一度帯状疱疹にかかった人でも受けたほうがいいですか?
A: 帯状疱疹は、一度かかっても再発することがあります。再発予防の観点から、50歳以上の方では、既往歴があってもワクチン接種を検討する価値があります。ただし、発症後しばらくは接種を待ったほうがよい場合もあるため、接種のタイミングは主治医とご相談ください。

Q:ワクチンの副反応が心配です。
A: 接種した部分の痛み・腫れ・赤み、発熱や倦怠感などが出ることがありますがほとんどは数日以内におさまります。持病のある方や、過去にワクチンで強いアレルギーが出たことのある方は、事前に医師にご相談ください。

Q:仕事をしていても治療は受けられますか?
A: 抗ウイルス薬は内服での治療が中心ですので、多くの方は仕事を続けながら治療が可能です。ただし、痛みや発熱が強い場合や、顔面・眼の周囲などに発疹が出た場合は安静や専門的な治療が必要になることがありますので、医師の指示に従ってください。

ご不明な点があれば、診察時に遠慮なくご相談ください。

 

 

単純疱疹(口唇ヘルペス・性器ヘルペス)

単純疱疹は「単純ヘルペスウイルス」によって起こる感染症で、唇のまわりにできる口唇ヘルペスと、陰部まわりにできる性器ヘルペスが代表的です。
一度かかるとウイルスは体の中に潜伏し、疲れ・ストレス・紫外線・風邪などをきっかけに、くり返し再発することがあります。

■ 口唇ヘルペス

唇やその周囲に「ピリピリ・チクチクする違和感」のあと、小さな水ぶくれが集まってできるタイプです。

・主な症状
– ヒリヒリ、ピリピリする違和感・軽い痛み
– 小さな水ぶくれが集まってできる発疹
– かさぶたになって治っていく

・よくあるきっかけ
– 風邪・発熱
– 疲労・寝不足・ストレス
– 日焼け(紫外線) など

・治療
– 抗ウイルス薬の内服・外用により、症状の軽減と治りを早めることを目指します。
– 「同じ場所がピリピリしてきた」「ムズムズする」など、再発の前ぶれを感じた段階で受診し、早めにお薬を開始することが大切です。

■ 性器ヘルペス

陰部・肛門まわりに、痛みを伴う水ぶくれやびらん(ただれ)が出るタイプです。

・主な症状
– 陰部のヒリヒリ感・痛み
– 小さな水ぶくれ~ただれ
– 排尿時のしみる痛み、歩行時の違和感 など

性行為により感染することが多く、初めての発症時は、熱・リンパの腫れ・強い痛みを伴うこともあります。

・治療
– 抗ウイルス薬の内服が基本となります。
– 初感染なのか、再発なのかによって、内服期間や説明内容が変わります。

・パートナーへの配慮
– 症状があるあいだ(痛み・水ぶくれ・ただれ)は感染力が高く、性行為は控える必要があります。
– コンドームで感染リスクをある程度減らすことはできますが、100%防げるわけではありません。

■ 受診のタイミングと注意点

・同じ場所に、くり返し水ぶくれができる
・唇(または陰部)に、小さな水ぶくれが出てきた
・はじめて陰部に痛い発疹が出た

このような場合は、早めの受診をおすすめします。
単純疱疹は、市販薬だけで様子を見るよりも、抗ウイルス薬を適切なタイミングで使うことがとても大切です。

 

 

虫刺され・虫刺性皮膚炎・蜂刺されについて

【虫刺され・虫刺性皮膚炎とは】

蚊、ノミ、ダニ、ブユ(ブヨ)、毛虫やチャドクガなど、さまざまな虫に刺されたり触れたりすることで、皮膚に赤み・かゆみ・腫れ・水ぶくれなどが生じた状態を「虫刺性皮膚炎(ちゅうしせいひふえん)」と呼びます。

● よくみられる症状

・刺されたところが赤くふくらむ
・強いかゆみが続く
・水ぶくれやじゅくじゅくした湿疹になる
・かきこわして「とびひ(伝染性膿痂疹)」のように広がる
・赤い筋のように腫れが広がるリンパ管炎を起こすこともある
・あとが茶色く残る(色素沈着)

同じ虫に刺されても、体質や刺された回数によって反応はさまざまで、
小さなお子さんやアレルギー体質の方では、強く腫れることも少なくありません。

【原因となる虫の一例】

● 蚊・ノミ・ブユ(ブヨ)など吸血する虫
刺された直後~数時間で赤くふくらみ、激しいかゆみを伴うことがあります。

● ダニ
寝具やカーペットなどに潜むことが多く、朝起きたら「同じようなブツブツがいくつもできていた」という形で気づかれることが多いです。

● 毛虫・チャドクガなど
直接触れなくても、毒針毛が風で飛んで皮膚につくだけで強いかゆみと赤いぶつぶつが多数出ることがあります。
衣類の中に入り込むと、広い範囲に症状が出ることもあります。

【虫刺性皮膚炎の治療】

・かゆみを抑える外用薬(抗ヒスタミン薬・ステロイド外用薬など)
・かきこわしが強い場合には、内服薬でのかゆみ止め
・とびひ(伝染性膿痂疹)やリンパ管炎を起こしている場合には、抗菌薬による治療
・色素沈着が気になる場合には、保湿や美白外用などのスキンケア

強く腫れて痛みを伴う場合や、広い範囲に湿疹が出ている場合、市販薬でなかなかよくならない場合には、早めの受診をおすすめします。

【蜂刺され(ハチ刺傷)について】

スズメバチ・アシナガバチ・ミツバチなどに刺されると、刺された部分だけの反応でおさまる場合から、全身にアレルギー反応が出る場合まで、症状はさまざまです。

● 局所反応(刺された部位だけの反応)
・刺されたところの強い痛み
・赤みと腫れ
・数日~1週間程度かけて徐々におさまっていく

多くはこの「局所反応」のみで、適切な処置と時間の経過で改善します。

● 全身性のアレルギー反応(アナフィラキシー)
次のような症状が出る場合は、命に関わる危険な状態(アナフィラキシー)の可能性があります。

・じんましんが全身に広がる、顔がはれる
・息苦しい、ゼーゼーする、声がかすれる
・吐き気・嘔吐・腹痛
・めまい、冷や汗、意識がもうろうとする など

このような症状がある場合は、すぐに救急受診が必要です。

【蜂に刺されたときの基本的な対応】

・安全な場所に移動する(同じ巣の蜂に繰り返し刺されないようにする)
・ミツバチの場合は、皮膚に刺さった針をこすり取る(ピンセットなどでつまむと毒袋をしぼってしまうことがあるため注意が必要です)
・流水で冷やし、清潔に保つ
・強い痛みや腫れには、冷却や鎮痛薬、炎症を抑える外用薬が有効な場合があります

【エピペン(アドレナリン自己注射薬)について】

以前に蜂刺されでアナフィラキシー(全身のじんましん・呼吸困難・血圧低下など)を起こしたことがある方は、再び刺された場合にも重いアレルギー反応を起こすリスクが高いと考えられます。

そのような方には、アレルギー専門医や主治医の判断で、「エピペン(アドレナリン自己注射薬)」を処方されることがあります。

● エピペンとは
・アナフィラキシーが疑われる強い症状が出た際に、自分で太ももに注射する薬です。
・救急車が到着するまでの「つなぎ」として、症状の悪化を一時的に抑えることを目的としています。
・使ったあとも、必ず救急受診が必要です。

エピペンが必要かどうか、蜂刺され後の検査(蜂毒アレルギーの有無)や今後の予防については、症状の経過や持病などをふまえて個別に判断する必要がありますので、受診時にご相談ください。

【受診のタイミング】

次のような場合は、皮膚科の受診をおすすめします。

・虫刺されのあと、かゆみや赤みが長引いている
・かきこわして「とびひ」のようにじゅくじゅくしてきた
・赤い筋のような腫れが広がり、リンパ管炎が疑われる
・同じような湿疹をくり返している(ダニ・ノミなどの可能性)
・毛虫に触れた、チャドクガに心当たりがあり、強いかゆみが広がっている

蜂に刺された場合は、

・刺された部位の腫れが強い、痛みがつらい
・以前蜂に刺されたときに、全身のじんましんや息苦しさが出たことがある
・今後の予防法やエピペンについて相談したい

といった場合に、一度ご相談ください。

症状の程度やこれまでの経過に応じて、外用薬・内服薬による治療、必要に応じてアレルギー専門医や救急医療機関との連携も含めてご説明いたします。

 

 

 

とびひ(伝染性膿痂疹)について

【とびひとは】

「とびひ」は正式には「伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)」と呼ばれる皮膚の感染症で、小さなお子さんに多くみられますが、大人にも起こることがあります。

虫刺されやあせも、ひっかき傷などをきっかけに、皮膚についている細菌(主に黄色ブドウ球菌や溶連菌)が増えて、水ぶくれやかさぶたが広がっていく病気です。

かきこわした部分を手で触り、その手で別のところを触ることで、まるで「火が飛びうつる」ようにあちこちに広がることから「とびひ」と呼ばれています。

【症状】

・水ぶくれができて、やぶれるとジュクジュクして黄色い液が出る
・そのあと、はちみつのような黄色いかさぶたになる
・顔・体・手足など、あちこちに同じようなぶつぶつが増えていく
・かゆみが強いことが多いが、しみるような痛みを伴うこともある
・ときに熱が出る、食欲が落ちる など

とびひの原因となる細菌は、家族や周囲の人にうつることもあるため、早めの治療が大切です。

【原因ときっかけ】

・虫刺され、あせも、湿疹、ひっかき傷など
・鼻をよくいじるクセがあり、鼻周りから広がるケース
・高温多湿の季節(夏場)に多い
・プールや汗で皮膚がふやけた状態だと、悪化しやすくなることもあります。

【治療】

とびひは「細菌の感染」が原因ですので、基本的には抗菌薬での治療が必要です。

● 外用薬(ぬり薬)
・抗菌薬の外用薬で、菌を減らして広がりをおさえます。
・かゆみや炎症が強い部分には、状態に応じてステロイド外用薬を併用することもあります。

● 内服薬(飲み薬)
・症状が広い場合
・顔や体幹など、複数の部位にたくさん出ている場合
・熱がある場合
などには、内服の抗菌薬で体の中からも治療することがあります。

● かゆみのコントロール
・かきこわすとさらに広がるため、必要に応じてかゆみ止め(抗ヒスタミン薬)を内服します。

【家庭で気をつけるポイント】

・なるべく「かかない」ように、爪を短く切っておく
・患部は石けんとぬるま湯でやさしく洗い、こすりすぎない
・清潔なタオルで軽く押さえるように水気をとる
・家族間でタオル・バスタオル・衣類を共用しない
・プールや水遊びは、医師の指示に従ってお休みする

【登園・登校について】

とびひはうつる病気ですが、
・きちんと治療を開始している
・ジュクジュクが衣類やガーゼでおおわれている場合には、登園・登校が可能とされることも多いです。

具体的な可否は、園や学校の方針や症状の程度によって異なりますので、診察時にご相談いただき、必要であれば診断書や意見書を作成します。

【受診のタイミング】

次のような場合には、早めの受診をおすすめします。

・虫刺されやあせものあとがジュクジュクして広がってきた
・黄色いかさぶたがあちこちに増えてきた
・かゆくて眠れない、かきこわしがひどい
・熱が出て元気がない

とびひは、適切な治療を行えば、比較的よくなりやすい病気です。
ただし、放置すると広がってしまい、治るまで時間がかかってしまうこともあります。
気になる症状があれば、お早めにご相談ください。

 

 

 

尋常性白斑について

【尋常性白斑とは】

尋常性白斑(じんじょうせいはくはん)は、皮膚の色をつくるメラニン色素が減少・消失し、まわりの皮膚よりも白く抜けて見える病気です。

・境界がはっきりした「白い斑点」「白い地図」のような皮疹
・顔、手足、関節のまわり、体幹など、全身のさまざまな部位に生じることがあります。
・かゆみや痛みなどの自覚症状は、ほとんどの場合ありません。

感染症ではなく、ほかの人にうつる病気ではありません。

【原因について】

はっきりとした一つの原因が分かっているわけではありませんが、皮膚の色を作る「メラノサイト(色素細胞)」が何らかの理由で壊されてしまうことで白斑が生じると考えられています。

・自己免疫(自分の体の免疫が自分の組織を攻撃してしまう状態)が関係していると考えられています。
・遺伝的な体質がかかわる場合もありますが、家族全員に出るわけではありません。
・機械的な刺激(こすれ・圧迫)や日焼けなどがきっかけになって広がることもあります。

【どのような経過をとるか】

・ゆっくりと白斑が増えていくこともあれば、ある程度のところで落ち着くこともあります。
・治療によって、白斑の中に「黒い点」が戻ってきて、少しずつ色が戻ることがあります。
・一部は完全に色が戻りにくい場合もあり、長期的な経過観察が必要な病気です。

【主な治療】

白斑の部位・広がり・年齢・生活スタイルなどによって、治療法を組み合わせていきます。
効果には個人差があり、少しずつ時間をかけて経過を見る必要があります。

● 外用療法
・ステロイド外用薬
・タクロリムス軟膏などの免疫調整薬外用
皮膚の炎症や免疫のはたらきを調整し、色素が戻るのを助けることを目的とします。

● 光線療法(専門機関での治療)
ナローバンドUVBやエキシマライトなどの紫外線治療は、
白斑部に特定の波長の光をあててメラノサイトの働きを促す専門的な治療です。
当院で必要と判断した場合には、これらの光線療法を行っている専門機関をご紹介

● 内服・その他
・必要に応じて、ビタミン剤や抗酸化作用のある薬剤などを併用することもあります。
・広範囲の白斑や特殊なタイプでは、専門施設での治療が適している場合もあります。

なお、どの治療もすぐに完全に元の肌色に戻ることを保証するものではなく、数か月単位での経過観察が必要になります。

【日常生活で気をつけること】

・日焼け止めや帽子、衣類などで、過度な日光曝露を避ける
(白斑部は日焼けしやすく、赤くなったり炎症を起こしやすいため)
・強くこする・擦れるような刺激を極力避ける
・必要に応じて、肌色を整えるカバーメイク(コンシーラーやファンデーションなど)を活用する

外見の変化により、学校や職場、対人関係でストレスを感じる方も少なくありません。
気になる点があれば、診察時に遠慮なくご相談ください。

【受診の目安】

・「最近、肌の色が抜けたような部分が出てきた」と感じる
・白い斑点が少しずつ広がってきている
・ほかの病気(白癬〔たむし〕、乾癬など)との区別がつかない
・治療の選択肢や経過の見通しについて説明を受けたい

尋常性白斑は、長く付き合っていく必要のある病気ですが、治療やスキンケアによって「目立ち方」を軽くすることは可能です。一人で悩まず、一度ご相談ください。

 

脂漏性皮膚炎について

【脂漏性皮膚炎とは】

脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)は、皮脂の多い部位(頭皮・額・眉・鼻のわき・耳まわり・胸元・背中の上部など)に、赤みやかさつき、フケのような落屑が出る慢性的な皮膚炎です。

・頭皮のフケやかゆみ
・顔の赤み、粉をふいたようなカサカサ
・耳のまわりや耳の中のかさつき、かゆみ
などの症状として現れることが多く、「体質」や「生活リズム」の影響も受けやすい病気です。

感染症ではなく、ほかの人にうつる病気ではありません。

【原因について】

はっきりと一つの原因で説明できる病気ではありませんが、次のようないくつかの要因が組み合わさって起こると考えられています。

・皮脂の分泌が多いこと
・皮膚表面に常在しているマラセチア(Malassezia)という真菌(カビ)の関与
・皮膚のバリア機能の低下
・ストレスや睡眠不足、生活リズムの乱れ
・季節の変化(特に冬の乾燥、春先の揺らぎ)

これらの要因により、皮膚に慢性的な炎症が起こり、赤みやかゆみ、フケのような症状が続きやすくなります。

【主な症状】

● 頭皮
・フケが多い、肩に落ちてくる
・かゆみが強い
・赤くなっている、脂っぽくベタつく

● 顔
・眉の間、鼻のわき、口のまわり、額の生え際などが赤くなる
・薄い皮がポロポロむける、粉をふいたようになる
・ときにヒリヒリ感やかゆみを伴う

● 耳・胸元・背中
・耳の中や耳の後ろがかゆく、かさつく
・胸の中央や背中の上部に、赤くて少しカサカサした斑点が出る

よくなったり悪くなったりを繰り返す「波」のある病気で、体調や季節、ストレスなどの影響を受けやすいのが特徴です。

【治療】

脂漏性皮膚炎は、うまく付き合いながら症状をコントロールしていく病気です。
部位や症状に応じて、次のような治療を行います。

● 外用薬(ぬり薬)
・軽~中等症では、低~中等度のステロイド外用薬で赤みやかゆみを抑えます。
・長期的なコントロールには、非ステロイド性の外用薬(タクロリムス軟膏など)を用いることもあります。
・マラセチアに対する抗真菌外用薬(ケトコナゾールなど)を併用する場合もあります。

● 頭皮の治療
・抗真菌成分入りシャンプーや、フケ・かゆみを抑える薬用シャンプー
・症状が強い部分には、ローションタイプの外用薬を使用することがあります。

【日常生活で気をつけること】

・皮膚を清潔に保ちつつ、洗いすぎ・こすりすぎに注意する
・刺激の少ない洗顔料・シャンプーを選ぶ
・洗顔・洗髪後は、ていねいにすすぎ、よく乾かす
・保湿を心がけ、乾燥しすぎないようにする
・ストレスや睡眠不足をためこまないよう、生活リズムを整える
・アルコールのとりすぎや、脂っこい食事のとりすぎに注意する

【経過について】

脂漏性皮膚炎は、「薬を少し使えば完全に治って終わり」というタイプの病気ではなく、
体質や生活環境に左右されながら、良い時期・悪い時期を繰り返しやすい病気です。

● 治療のポイント
・炎症が強い時期にはしっかりと薬で抑える
・落ち着いている時期には、薬を減らしつつスキンケアと生活習慣で維持する
・悪化のサイン(赤み・かゆみ・フケの増加)を早めにキャッチして対処する

【受診の目安】

・フケやかゆみが続いている、肩にフケが落ちて気になる
・顔の赤みや粉ふきが目立ち、メイクでも隠しきれない
・市販のシャンプーや保湿剤をいろいろ試したが、なかなか良くならない
・毎年同じ季節に症状をくり返してしまう

このような場合には、一度皮膚科でご相談ください。
皮膚の状態を確認し、外用薬・シャンプー・スキンケア・生活習慣の見直しなどを組み合わせて、無理のない治療・コントロール方法をご提案いたします。

 

 

 

手湿疹・掌蹠膿疱症について

【手湿疹(てしっしん)】

手湿疹は、手のひら・手の甲・指先に、赤み・かゆみ・水ぶくれ・皮むけ・ひび割れなどが出る湿疹の総称です。
「主婦湿疹」「手荒れ」と呼ばれることもあります。

● よくみられる原因・誘因
・水仕事(食器洗い、掃除、洗濯など)
・シャンプーや洗剤、石けん、消毒薬の使いすぎ
・仕事での薬品・紙・金属・ゴムなどとの接触
・アトピー性皮膚炎など、もともとの体質

何度も水に触れたり、洗剤やアルコールで脱脂されることにより、手のバリア機能が弱まり、刺激物やアレルゲンが入りやすくなって炎症を起こします。

● 主な症状
・指先や関節まわりの乾燥・ひび割れ
・皮がポロポロむける
・小さな水ぶくれができて強くかゆい
・赤くただれて、しみる・痛い
・悪化すると、あかぎれや亀裂になり、仕事や家事に支障が出ることもあります。

【手湿疹の治療とスキンケア】

掌蹠膿疱症や重症な手湿疹では、外用薬だけで十分でないこともあり、症状に応じて内服薬を併用することもあります。

● 外用薬
・炎症やかゆみが強い時期には、ステロイド外用薬でしっかりと赤み・かゆみを抑えます。
・落ち着いてきたら、弱いランクに切り替えたり、保湿剤中心のケアに移行します。

● 内服薬
・かゆみが強い場合には、抗ヒスタミン薬などの内服でかゆみを和らげます。
・症状が強い場合やアトピー性皮膚炎を合併している場合には、 必要に応じてその他の内服薬を併用することもあります。

● 保湿
・こまめな保湿がとても重要です。
・入浴・手洗い後はすぐに保湿剤(クリーム・軟膏など)を塗り、バリア機能を補います。

● 生活上の工夫
・洗剤やシャンプーは必要最小限にし、よくすすぐ
・水仕事のときは、できれば綿手袋+ビニール手袋の二重装着を検討
・熱いお湯ではなく、ぬるま湯を使用する
・アルコール消毒の使いすぎに注意し、必要に応じて保湿をセットで行う

悪化と改善を繰り返すことの多い病気ですが、「薬で炎症を抑える」と「日常の刺激を減らす・保湿を続ける」の両方が大切です。

 

【掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)】

掌蹠膿疱症は、手のひらや足の裏に、小さな膿(うみ)の入ったぶつぶつ(膿疱)が繰り返しできる病気です。
膿といっても細菌感染によるものではなく、ほかの人にうつることはありません。

● 主な症状
・手のひらや足の裏に小さな水ぶくれ~膿疱が多数できる
・赤みやかゆみ、ヒリヒリ感
・膿疱が乾いて茶色いかさぶたや皮むけになる
・良くなったり悪くなったりを繰り返す

症状が強い場合には、歩くと痛い・物を持つと痛いなど、日常生活に支障をきたすこともあります。

● 関連する要因として知られているもの
・喫煙(タバコ)
・扁桃炎などの慢性的な感染巣
・金属アレルギー など

これらがすべての患者さんに当てはまるわけではありませんが、原因・誘因となっている場合には、対応を検討します。

【掌蹠膿疱症の治療】

症状の程度や範囲に応じて、次のような治療を組み合わせて行います。

● 外用療法
・ステロイド外用薬や活性型ビタミンD3外用薬などで、炎症や膿疱を抑えることを目指します

● 内服療法・その他
・症状や背景によっては、ビタミン剤、消炎薬、免疫の反応を調整する内服薬などを併用することがあります。
・喫煙されている方では、禁煙が重要な治療の一部となります。
・扁桃炎や歯科の慢性炎症などが疑われる場合には、耳鼻咽喉科・歯科などと連携して評価することがあります。

● 光線療法・生物学的製剤など
・重症例や難治例では、紫外線療法や、生物学的製剤などの専門的な治療が検討されることがあります。
・そのような高度な治療が必要と判断される場合には、対応可能な専門医療機関をご紹介いたします。

【受診の目安】
・手荒れだと思って市販薬を使っているが、良くなったり悪くなったりを繰り返している
・ひび割れや痛みで、家事や仕事に支障が出ている
・手のひらや足の裏に小さな膿のぶつぶつが繰り返し出てくる
・歩くと痛い、物を持つと痛い
・原因や治療の見通しについて、きちんと説明を受けたい

このような場合には、一度皮膚科でご相談ください。
皮膚の状態や生活背景も含めて拝見し、外用薬・内服薬・生活上の工夫、必要に応じて他科や専門医療機関との連携も含めて治療方針をご提案いたします。

 

 

薬疹・中毒疹について

【薬疹(中毒疹)とは】

薬疹(やくしん)は、飲み薬・注射薬・ときに外用薬(ぬり薬)などが原因となって起こる発疹の総称です。
「中毒疹(ちゅうどくしん)」「薬物アレルギー」などと呼ばれることもあります。

・赤いぶつぶつや斑点
・じんましんのようなふくらみ
・水ぶくれ
・全身の赤み、皮むけ
など、さまざまな皮膚症状として現れます。

同じ薬を飲んでも、症状が出る方と出ない方がおり、主に「アレルギー反応」や体質の違いが関係していると考えられています。

薬疹は、見た目の赤みが強くても、かゆみがほとんどない場合もあれば、逆に比較的軽い発疹でも強いかゆみを伴う場合もあり、症状の出方には個人差があります。

【よくみられる薬疹のタイプ】

● 紅斑・丘疹型(いわゆる中毒疹)
最もよくみられるタイプで、
・からだや腕・脚に、赤い斑点や小さなぶつぶつが広がる
・かゆみを伴うことが多い
タイプの発疹です。

● じんましん型
・急に、地図のような赤くて盛り上がった発疹が出たり消えたりする
・強いかゆみを伴う
・薬を飲んで数時間以内に出ることもある

● 固定薬疹
・同じ薬を飲むたびに、いつも同じ場所に丸い赤~紫色の発疹が出て、やがて色素沈着(茶色)を残して治るタイプの薬疹です。

このほかにも、まれではありますが、全身の皮膚や粘膜が強くただれる「重症薬疹(SJS/TENなど)」や、発熱・リンパ節腫脹・肝機能障害などを伴う「薬剤性過敏症症候群(DIHS/DRESS)」など、命に関わることもある重いタイプの薬疹も存在します。

【原因となりやすい薬】

どの薬でも薬疹の原因になりえますが、代表的なものとしては、
・抗菌薬(抗生物質)
・解熱鎮痛薬
・てんかん薬、痛風薬 など
が挙げられます。

実際には、複数の薬を同時に飲んでいることも多く、どの薬が本当の原因かを見極めるには、詳しい問診と経過の確認が重要です。

【薬疹が疑われるとき】

次のような場合には、薬疹の可能性があります。

・新しく薬を飲みはじめてから数日~数週間以内に発疹が出てきた
・以前にも、似たような薬を飲んだときに発疹が出たことがある
・薬を中止したら少しずつ発疹が良くなってきた

【注意が必要な症状】

以下のような症状を伴う場合は、重症薬疹や全身のアレルギー反応の可能性があり、
早急な対応が必要です。

・高い発熱
・顔のはれ、唇やまぶたの強い腫れ
・口の中・目・陰部などの粘膜のただれ
・全身の赤みと皮むけ
・息苦しさ、ゼーゼーする、声が出しづらい
・全身のだるさが強い、黄疸(肌や白目が黄色い)など

このような場合には、救急受診や入院での治療が必要になることがあります。

【治療の基本】

● 原因と考えられる薬の中止
まずは、原因と疑われる薬を中止することが最も重要です。
ただし、自己判断で重要な薬(心臓・血圧・てんかん・抗凝固薬など)を中止すると危険な場合
もありますので、
薬を処方された医師や、皮膚科医と相談しながら対応します。

● 皮膚症状に対する治療
・かゆみや赤みには、抗ヒスタミン薬の内服や、ステロイド外用薬などを使用します。
・症状が強い場合には、ステロイドの内服など、全身的な治療が必要になることもあります。

● 重症薬疹の場合
入院のうえで、全身管理と専門的な治療が必要になります。
その場合には、対応可能な専門医療機関と連携して治療を行います。

【受診時にお持ちいただきたい情報】

薬疹が疑われる場合には、次のような情報が診断の助けになります。

・現在服用中の薬、最近まで飲んでいた薬の内容
(お薬手帳、薬剤情報提供書、薬の現物など)
・発疹が出る前後の服薬のタイミング
・これまでに薬でアレルギー症状(発疹・じんましん・息苦しさなど)が出たことがあるかどうか
・発疹がもっと強かった時期や、出はじめの状態が分かる写真(スマートフォンで撮影したものなど)があればお持ちください。

【受診の目安】

・新しく薬を飲みはじめてから、全身に発疹が出てきた
・かゆみや赤みが強く、市販薬ではおさまらない
・以前、薬を飲んで発疹が出たことがあり、今回も不安がある
・薬疹と言われたが、今後どの薬に注意したらよいか知りたい

このような場合には、一度皮膚科でご相談ください。
皮膚の状態と服薬歴を確認し、原因薬の可能性や今後の注意点、必要に応じて他科や専門医療機関との連携も含めてご説明いたします。

 

 

 

皮膚潰瘍・下腿潰瘍・褥瘡について

皮膚が欠けて深くえぐれた状態を「皮膚潰瘍(ひふかいよう)」と呼びます。
特に、足(すね・くるぶし・足先)にできるものを「下腿潰瘍(かたいかいよう)」、長時間同じ姿勢が続くことで骨が出っ張ったところの皮膚や皮下組織が壊れてしまうものを「褥瘡(じょくそう・床ずれ)」と言います。

【皮膚潰瘍・下腿潰瘍】

● 主な原因
・糖尿病
・動脈硬化や閉塞性動脈硬化症などによる血流障害
・静脈瘤や血栓後症候群などによる静脈うっ滞
・長期間のむくみ、皮膚炎、感染
・外傷ややけどのあとが治りきらずに悪化した場合 など

特に、ふくらはぎ~足首~足先は心臓から遠く、血流の問題やむくみの影響を受けやすいため、いったん潰瘍ができると自然には治りにくく、長引いてしまうことがあります。

● 症状
・皮膚がただれる、ジュクジュクする
・赤黒いかさぶたの下がえぐれている
・痛みやしみる感じ
・長期間治らないきず など

● 治療の考え方
皮膚潰瘍・下腿潰瘍では、「きずそのものの処置」と「原因(血流・むくみ・基礎疾患)への対応」の両方が大切です。

・創部の洗浄と適切な被覆材(ガーゼ・ドレッシング材)による保護
・必要に応じた壊死組織(黒いかさぶたなど)の除去
・感染が疑われる場合には、抗菌薬の内服や外用
・弾性ストッキングや弾性包帯によるむくみ(浮腫)のコントロール
・糖尿病・動脈硬化・心不全など、基礎疾患のコントロール

難治性の下腿潰瘍では、骨髄炎(骨の感染症)の有無を画像検査などで確認することが重要です。
必要に応じて、形成外科的な局所皮弁・筋皮弁・遊離皮弁などを用いた再建手術が選択されることもあり、そのような高度な治療が必要と判断される場合には、対応可能な専門病院へのご紹介が可能です。

血流障害や重度の静脈疾患が疑われる場合には、必要に応じて血管外科・循環器内科など
専門の医療機関での精査や治療が必要になることがあります。

当院では、創部の評価と処置を行い、必要に応じて専門病院をご紹介いたします。

【褥瘡(じょくそう・床ずれ)】

褥瘡は、寝たきりの状態や、車いす生活・長時間同じ姿勢が続くことで、骨が出っ張っているところ(仙骨部・かかと・坐骨部・くるぶしなど)に圧力がかかり続け、血流が悪くなって皮膚やその下の組織が壊れてしまう状態です。

● 主な危険因子
・長期間の寝たきり、活動性の低下
・やせて骨ばっている、または強いむくみがある
・栄養状態の低下
・糖尿病などの基礎疾患
・おむつかぶれや湿った状態が続いている など

● 予防
褥瘡は「できてから治す」よりも、「できないように予防する」ことがとても重要です。
・こまめな体位変換(2時間ごとを目安に姿勢を変えるなど)
・エアマットレスやクッションなど、体圧分散用具の使用
・皮膚を清潔かつ乾燥しすぎない状態に保つ
・栄養状態の評価と改善(十分なたんぱく質とエネルギー摂取)
・おむつかぶれやびらんがあれば早めに対応する

● できてしまった褥瘡の治療
・創部の洗浄と、状態に合った被覆材による保護
・壊死組織の除去(デブリードマン)
・感染がある場合の抗菌薬治療
・体位変換や体圧分散など、局所への圧迫を減らす工夫
・栄養・全身状態の改善

深い褥瘡や、骨まで達しているような重症例では、入院での集中的な治療や、筋皮弁などを用いた形成外科的な手術が必要になることもあります。
そのような場合には、設備の整った専門病院での治療が適しており、連携して対応します。

【受診のタイミング】

・「きず」が2週間以上たってもよくならない
・足やすねに、同じ場所の潰瘍をくり返している
・ジュクジュクしたきずが増えてきた、においが気になる
・寝たきりのご家族の、おしり・かかとなどに赤みやただれがある

このような場合は、自己判断で市販薬だけで様子をみず、早めの受診をおすすめします。
当院では、皮膚の状態や全身状態を確認したうえで、
外用薬・処置・弾性ストッキングなどによる保存的治療を行い、
必要に応じて内科・血管外科・専門病院と連携して治療方針をご提案いたします。