medical care available in English当院は英語での診療が可能です

 

立教通り皮フ科形成外科

MENU

形成外科

plastic-surgery

形成外科

形成外科専門医について

2年間の初期臨床研修終了後、形成外科領域全てに関して定められた研修カリキュラムにより4年以上の専門医研修を修め、資格試験に合格し専門医として認定された医師のことです。更に、専門医資格を取得した後も、定期的に更新要件を満たす必要があります。5年毎に100例以上の症例数、定められた学会、研修会において最新の形成外医学を学び続ける事で、専門医資格の維持更新していきます。

よくある疾患

  • 外傷・けが(切り傷・すり傷・顔面外傷・犬咬傷 など)
  • やけど(熱傷・低温熱傷)
  • ほくろ(色素性母斑)
  • 粉瘤(ふんりゅう:アテローム)
  • 脂肪腫
  • 脂漏性角化症
  • スキンタッグ
  • 稗粒腫(はいりゅうしゅ)
  • 皮膚線維種
  • 皮膚がん・前がん病変(基底細胞癌・有棘細胞癌 など)
  • 傷あと・瘢痕・ケロイド
  • あざ(色素性母斑・扁平母斑・血管腫〔いちご状血管腫・単純性血管腫〕・太田母斑・異所性蒙古斑)
  • 眼瞼下垂
  • 腋臭症(わきが)
  • 爪のトラブル(巻き爪・陥入爪)
  • 皮膚潰瘍・下腿潰瘍・褥瘡
  • 小児の先天性の小さな変形(副耳・耳前瘻孔 など)
  • 手足のしこり・ガングリオンなどの良性腫瘍

詳しくは一般社団法人 日本形成外科学会ホームページをご参照ください。

外傷・けがについて

日常生活やスポーツ、仕事中の思わぬ事故で、切り傷・擦り傷・打撲・やけどなどの外傷を負うことがあります。こうした外傷は、「とりあえず傷がふさがれば良い」というものではなく、その後の 傷あと(瘢痕)の目立ち方や、関節の動き・感覚などの機能 に大きく影響します。

当院では、形成外科専門医が、機能面と見た目の両方を考慮した「形成外科的な創傷治療」を行っています。

■ 当院でよくみられる外傷の例

・切り傷(カッター・包丁・ガラスなどによる切創・裂創)
・顔面の外傷(眉・まぶた・鼻・唇・頬などの傷)
・擦り傷(転倒に伴うすり傷、ロードラッシュなど)
・打撲や皮下血腫(ぶつけた・転んだ後の腫れや内出血)
・咬み傷(人・犬・猫などによる咬傷)
・刺し傷(釘・木片・金属・トゲなどが刺さった傷)
・爪のはがれ・指先のケガ
・関節周囲の傷(ひざ・肘・手指の関節など)

顔や手指など、目立ちやすい部位・細かい機能が必要な部位 の外傷は、形成外科の専門領域です。

■ 形成外科ならではのポイント

当院では、単に「縫う」「ふさぐ」だけでなく、以下の点を意識して治療します。

・皮膚のキズが将来どのような瘢痕(傷あと)になるかを見越したデザイン
・真皮縫合などを用いたできるだけ目立ちにくい縫合方法
・まぶた・唇・鼻・耳など顔面の形態とバランスを意識した修復
・関節周囲や手指のケガに対する動きやすさ(可動域)を保つための縫合・固定
・必要に応じて、後日の瘢痕ケア・瘢痕修正手術(保険適用)やレーザー治療まで見据えたフォロー

「救急でとりあえず縫ってもらったが、傷あとが気になる」
「子どもの顔の傷なので、できるだけきれいに治したい」
といったご相談も、形成外科でよくお受けする内容です。

■ 当院で行う主な治療

① 受傷直後の治療(初期治療)

1)創部の洗浄・異物除去
まず、水道水や生理食塩水で傷をていねいに洗浄し、砂・土・アスファルト・ガラス片などの異物をできるだけ除去します。
しっかりと洗うことで、感染予防と、将来の「入れ墨状の黒ずみ(タトゥースカー)」を防ぎます。

2)出血のコントロール・感染予防
圧迫止血・縫合・血腫(血のたまり)の除去などを行い、必要に応じて抗生剤の内服・外用を併用します。
咬み傷や汚染創では、感染リスクを考慮した治療方針をとります。

3)形成外科的縫合(必要な場合)
局所麻酔を行い、皮膚の緊張やシワの方向(皮膚割線)を意識した傷のデザインを行います。
真皮縫合(皮膚の深い層を溶ける糸で縫う)を行った上で、皮膚表面を細かく縫い合わせることで、将来の傷あとができるだけ目立ちにくいよう配慮します。
顔面や関節周囲、手指などは、変形を予防するために特に慎重に縫合します。

4)テーピング・創傷被覆材による保護
状況に応じて、テープ固定や創傷被覆材(ハイドロコロイド、フォーム材など)を用い、傷が乾燥しすぎないようにしながら保護します。
縫合を必要としない浅い傷の場合でも、きれいに治すための貼り薬の選択やケア方法をお伝えします。

② 外来での経過観察と創ケア指導

数日〜1週間ごとに創部を確認し、感染の有無や治り具合をチェックします。

縫合した部位は、場所によって抜糸のタイミングが異なります(顔は早め、体幹・手足はやや長めなど)。

ご自宅での洗浄・シャワーのタイミング、塗り薬の塗り方、テープの貼り方など、具体的なケア方法をご説明します。

お子さまの外傷では、動きやすさや生活スタイルも考慮しながら、無理のないケア方法を一緒に考えます。

③ 外傷後の傷あと治療(瘢痕治療)

傷がふさがったあとも、数ヶ月~1年ほどかけて、
傷あと(瘢痕)は赤み → 盛り上がり → 次第に落ち着くといった経過をたどります。

当院では、必要に応じて以下のような瘢痕治療を行います

1)テーピング・圧迫療法
傷あとに沿ってテープを貼ることで、引きつれ・盛り上がりを予防し、きれいに細く治るようサポートします。
場所によっては、専用の圧迫製品を用いて、ケロイド体質の方の予防にも配慮します。

2)外用薬・内服薬
赤み・かゆみ・盛り上がりの強い傷あとには、ステロイド外用薬やその他の軟膏を用いることがあります。
体質や部位によっては、瘢痕をやわらかくする内服薬を併用することもあります。

3)シリコンゲルシート・ジェル
シリコン製のシートやジェルを傷あとに貼付・塗布することで、
赤み・盛り上がりを抑え、傷あとをできるだけ目立ちにくくすることを目指します。

4)注射治療(ステロイド注射など)
ケロイド状に固く盛り上がった傷あとには、ステロイド注射などを局所に行うことで、
盛り上がりや赤みを軽減させる治療を行うことがあります(保険適用となる場合があります)。

5)レーザー治療・手術による瘢痕修正
赤みが強い傷あとには、血管レーザーなどで赤みを目立ちにくくする治療を行うことがあります。
凹凸や引きつれが目立つ場合には、瘢痕修正手術(形成外科手術)により、傷あとの向きや形を整える方法もあります(保険診療の対象となる場合があります)。
美容的なご希望が強い場合には、自費診療のレーザー治療などについてもご相談いただけます。

④ 受診前のポイント(応急処置)

・まずは水道水でよく洗う(砂や汚れを流します)
・清潔なガーゼやタオルで10〜15分しっかり圧迫して止血
・消毒液を大量に繰り返し使いすぎない
・氷や保冷剤で冷やしすぎて凍傷にならないよう注意
・抜けた歯や指先の一部などは、乾燥させずに、できるだけ早く医療機関へ

⑤ すぐに救急受診が必要なサイン

・出血が止まらない、大量出血している
・意識がもうろうとしている、反応が悪い
・頭を強く打ったあとに、吐き気・頭痛・けいれんなどがある
・手足の色が悪い・冷たい・動かしにくい
・眼球への外傷が疑われる など

このような場合は、まず救急受診を優先し、その後必要に応じて形成外科での傷あとフォローを行います。

 

 

やけど(熱傷・低温熱傷)

【どんな病気ですか?】

「やけど(熱傷)」は、熱いお湯・油・金属・湯たんぽ・カイロなどによって、皮膚がダメージを受けた状態です。
短時間の高温だけでなく、比較的低い温度でも長時間触れていると、“低温熱傷”を起こすことがあります。

・お湯・味噌汁・鍋などによるやけど
・アイロン・ストーブ・ヘアアイロンなどに触れてしまった
・湯たんぽ・カイロを長時間当てていた(低温熱傷)
・油はね、揚げ物中のやけど など

【重症度の目安】

やけどは、見た目以上に「深さ」と「広さ」が重要です。

・ひりひりして赤くなる(比較的軽いやけど)
・皮膚に水ぶくれができる
・あまり痛みを感じず、白っぽくなっている(深いやけどの可能性)

顔・手・陰部・関節まわり、広い範囲のやけどは、
早めの受診がとても大切です。

【診断・治療】

・やけどの深さ、範囲、場所を確認し、治療方針を決めます。
・初期には、適切な冷却と清潔な保護が重要です。
・その後は、感染予防と、傷あとをできるだけ残さないような処置を行います。

治療法には、
・軟膏や被覆材(ドレッシング材)を用いた保存的治療
・深いやけどでは、植皮術などの手術が必要になることもあります。
などがあり、状態に応じて選択します。

【当院でのやけどの診療】

形成外科では、ただ傷をふさぐだけでなく「後のひきつれ」や「ケロイド」「色素沈着」などを、できるだけ少なくすることを重視しています。

特に低温熱傷(カイロ・湯たんぽなど)は、見た目が軽くても意外と深いやけどになっていることがあります。
受傷後すぐの対応で経過が変わることも多いため、心配な場合は早めにご相談ください。

 

色素性母斑(ほくろ)

生まれつき、または成長とともに現れる色素性の良性腫瘍です。
多くのホクロは問題ありませんが、形・色・大きさの変化がある場合には注意が必要です。

・注意が必要なサインの一例
– 急に大きくなってきた
– 形がいびつになってきた
– 色が濃くなったり、まだらになってきた
– 出血したり、繰り返しかさぶたになる

・治療:良性と判断される場合でも、整容的な理由で切除やレーザー治療を行うことがあります。

 

粉瘤(ふんりゅう)について

【粉瘤(ふんりゅう)とは】

粉瘤(表皮嚢腫・アテロームとも呼ばれます)は、皮膚の下に袋状の組織ができて、その中に角質や皮脂がたまる良性のしこりです。
顔・首・背中・おしり・わき・陰部など、体のどの部位にも生じる可能性があります。

特に女性の外陰部・ビキニライン・おしり周りなど、下着で覆われる部位にできるものも少なくありません。
生理のたびにナプキンや下着でこすれて炎症を繰り返し、「恥ずかしくて受診しづらい」「誰にも相談できない」とお困りの方も多い疾患です。

当院では女性医師が診察・治療にあたりますので、このようなデリケートなお悩みも安心してご相談ください。

【原因】

はっきりした原因がわからないことが多いですが、
・毛穴や皮脂腺の出口が詰まる
・皮膚へのこすれ・慢性的な刺激
・ケガや手術痕などから皮膚の一部が入り込む
といったことをきっかけに、皮膚の表皮が袋状になり、その内側に角質や皮脂がたまり続けることで粉瘤が形成されると考えられています。

【主な症状】

・皮膚の下に触れるコリコリしたしこり
・ゆっくりと少しずつ大きくなる
・しこりの中央に黒い点(開口部)が見えることがある

炎症(感染)を起こすと、
・赤く腫れる
・触ると強く痛む
・皮膚の表面が熱をもつ
・膿や、特有の臭いのある分泌物が出てくる

下着で締め付けられる部位や、座ったときに体重がかかる場所にできた粉瘤は、生理中のナプキンやショーツとの摩擦で、毎月のように腫れたり痛みが出たりするケースもあります。

粉瘤自体はがんではありませんが、自然に消えてなくなることはほとんどありません。

【放置するとどうなる?】

・少しずつ大きくなっていく
・衣類や下着とこすれて痛み・不快感が出る
・細菌が入って強い炎症や膿瘍(膿のたまり)になる
・炎症を繰り返すと、皮膚の変形や色素沈着・瘢痕が目立ちやすくなる

炎症が強くなると、その場しのぎとしての切開排膿が必要になり、その後の手術跡もきれいにしにくくなります。

「大きくなる前」「炎症を起こす前」の段階で、計画的に手術治療を行うことをおすすめします。

【治療方法】

粉瘤は、袋(嚢腫壁)ごと取り除かないと再発しやすい腫瘍です。
根治治療は外科的切除(手術)になります。

1. 手術(外科的切除)

・局所麻酔で行う日帰り手術です。
・皮膚を小さく切開し、袋の部分を丸ごと取り出すことを目標にします。
・大きさ・場所に合わせて、形成外科的に傷あとが目立ちにくい方向・デザインで切開します。
・必要に応じて皮下縫合・皮膚縫合を行い、後日抜糸を行います(部位により吸収糸で抜糸不要とする場合もあります)。

※炎症・感染が強い場合
最初に切開して膿を出す処置+抗生剤が必要になり、炎症が落ち着いてから袋ごと切除する二段階治療になることがあります。

●手術の流れ(例)

1. 診察・触診・必要に応じてエコー検査など
2. 手術の方法・傷あと・合併症・費用について説明
3. 局所麻酔を行い、切開+粉瘤の摘出
4. 縫合・ガーゼ保護
5. 数日後に創部チェック、その後抜糸(通常1〜2週間前後)
6. 傷あとが落ち着くまで、テープ固定や紫外線ケアなどをご案内します。

●保険診療について

粉瘤は良性腫瘍ですが、医療保険の適応となることが一般的です。

・痛みや炎症がある
・日常生活でこすれてつらい
・感染を繰り返している
・大きくなってきており、医学的に切除が望ましい
といった場合には、保険診療での手術として対応いたします。
(自己負担額は、大きさ・部位・手技などにより変わりますので、診察時にご説明いたします。)

●傷あとについて(形成外科としての工夫)

当院では形成外科として、

・皮膚のシワの方向や緊張線を考慮した切開デザイン
・皮下縫合を含めた丁寧な縫合・必要に応じたテープ固定・瘢痕ケアの指導
などを行い、傷あとができるだけ目立ちにくいよう配慮した手術を心がけています。

●受診の目安

次のような場合は、早めの受診をおすすめします。

・皮膚の下にコリっとしたしこりを触れる
・同じ場所が何度も赤く腫れたり、膿が出たりする
・外陰部やおしり周りなどのしこりで、生理のたびにナプキンや下着でこすれて痛みや炎症を繰り返している
・他院で「粉瘤」と言われたが、傷あとや手術方法について詳しく相談したい
・仕事・生活上、目立つ場所のしこりをできるだけきれいに取りたい

当院では、女性医師が診察・手術まで一貫して担当いたします。
見られたくない部位のご相談も、プライバシーに配慮しながら丁寧に対応いたしますので、「もしかして粉瘤かな?」と気になるしこりがありましたら、どうぞ一人で悩まずご相談ください。

●Q&A 粉瘤についてよくあるご質問

Q:粉瘤はがんですか?
A:がんではありません。
粉瘤は皮膚の下にできる良性の袋状の腫瘍で、基本的には命に関わるものではありません。
ただし、炎症や感染を繰り返すと、痛みや腫れで日常生活に支障が出たり、傷あとが目立ちやすくなったりするため、早めの治療をおすすめしています。

Q:粉瘤は自然に小さくなったり、治ったりしますか?
A:自然に完全に治ることはほとんどありません。
中身(角質や皮脂)が一時的に外に出ることはあっても、袋(嚢腫壁)が残っている限り、また同じ場所にしこりができることが多いです。根本的に治すには、袋ごと取り除く手術が必要になります。

Q:自分で押したり、つぶしたりしてもいいですか?
A:自分でつぶすのはおすすめしません。
自分でしぼると、
・細菌が入って強い炎症や感染を起こす
・周囲に内容物が広がって、かえって手術が難しくなる
・傷あとが大きく・汚くなりやすい
などのリスクがあります。気になる場合は、ご自身でいじらずに受診してください。

Q:陰部まわりやおしりのしこりも診てもらえますか?
A:もちろん診察・治療しています。
下着で隠れる部分のしこりは、生理のたびにナプキンや下着との摩擦で炎症を繰り返し、「恥ずかしくて言いにくい」と受診をためらわれる方が多い部位です。
当院では、女性医師が診察・手術まで一貫して担当いたします。
必要最小限の露出で、できるだけ恥ずかしさに配慮して診察を行いますので、お一人で悩まずにご相談ください。

Q:手術は痛いですか?どのくらい時間がかかりますか?
A:基本的には局所麻酔で行う日帰り手術です。
・麻酔の注射をするときにチクッとした痛みがありますが、その後は痛みを感じにくくなります。
・粉瘤の大きさや場所にもよりますが、手術自体は20〜30分程度で終わることが多いです。
・手術後は、軽い痛みや違和感が出る場合がありますが、多くは市販の痛み止めや処方された鎮痛薬でコントロール可能です。

Q:手術をすると傷あとが目立ちますか?
A:まったく跡が残らないわけではありませんが、形成外科的な工夫で目立ちにくくします。
当院では形成外科として、
・皮膚のシワの方向や緊張線を考えた切開ライン
・皮下縫合を含めた丁寧な縫合
・傷あとが落ち着くまでのテープ固定・瘢痕ケアのご案内
などを行い、傷あとができるだけ目立たないように配慮して手術を行っています。

Q:保険は使えますか?美容目的扱いになりますか?
A: 一般的に粉瘤は保険診療の対象です。
・痛みがある
・大きくなってきている
・炎症や感染を繰り返している
・日常生活でこすれてつらい
といった場合、医学的に切除が望ましい良性腫瘍として保険適用となることがほとんどです。
※実際の自己負担額は、部位・大きさ・手技(外来か手術室か)などで変わりますので、診察時にご説明いたします。

Q:いきなりその日に手術してもらえますか?
A:炎症の有無や大きさ、当日の予約状況によります。
・強い炎症や痛みがある場合は、まず切開して膿を出す処置を優先し、
炎症が落ち着いてからあらためて袋ごと切除する二段階治療になることがあります。
・炎症が少なく、手術枠に空きがある場合には、当日または別日に予約を取っての手術となります。
「早めに治したい」「仕事の都合でこの日がいい」などご希望がある場合は、遠慮なくお申し出ください。

Q:粉瘤かどうか自分ではよくわからないのですが、受診してもいいですか?
A:もちろん大丈夫です。
しこりの正体は、粉瘤以外にも脂肪腫・リンパ節・他の良性腫瘍など様々です。
見た目や触診だけでは判断が難しいこともあり、必要に応じてエコー検査などを併用します。
「ニキビだと思っていたら粉瘤だった」というケースも多くありますので、“何かしこりがある”と感じたら、お気軽にご相談ください。

Q:生理中でも受診や手術はできますか?
A:診察自体は生理中でも可能ですが、手術のタイミングは相談して決めます。
下着で隠れる部分の粉瘤の場合、
・診察だけ先に行い、手術は生理の時期を避けて予約する
・炎症や痛みが強い場合には、状況に応じて時期を問わず処置を優先する
など、その方の症状やご希望に合わせて対応します。
女性医師が対応しますので、生理中かどうかも含めて遠慮なくご相談ください。

 

脂肪腫(形成外科・手術)

脂肪腫は、皮膚の下の脂肪組織が増えてできる良性の腫瘍です。
良性のことがほとんどですが、大きくなったり、場所によっては見た目や動きの妨げになるため、形成外科では「きれいに摘出し、傷あともできるだけ目立たないようにする」ことを意識して手術を行います。

■ 手術(摘出)の適応

次のような場合には、脂肪腫の摘出手術を検討します。
・直径が大きくなってきた
・服や下着に当たって邪魔、違和感が強い
・見た目が気になる(首・肩・腕・顔まわりなど)
・触ると痛みがある
・中身が本当に脂肪腫かどうか、きちんと確認しておきたい

■ 手術の流れ

1.診察・必要に応じて画像検査
触診で脂肪腫が疑われる場合でも、大きさ・深さ・周囲組織との位置関係によっては、エコーやMRIなどの画像検査を行うことがあります。

2.局所麻酔下の日帰り手術が基本
多くの場合、局所麻酔での日帰り手術が可能です。
部位や大きさによっては、麻酔方法や入院の要否を検討することもあります。

3.皮膚切開と脂肪腫の摘出
・皮膚のシワの向きや、将来の傷あとを考慮して切開線をデザインします。
・皮膚を開けて、被膜ごと脂肪腫を丁寧に摘出します。

4.縫合と傷あとの配慮
・皮膚と皮下を縫合し、後日抜糸を行います。
・できるだけ平らで目立ちにくい傷あとになるよう配慮します。

5.病理検査
摘出した組織は、必要に応じて病理検査に提出し、脂肪腫であることの最終確認を行います。

■ 手術後の経過

・手術当日は、強い運動や飲酒は控えていただきます。
・抜糸は多くの場合、およそ1週間後です(部位により前後することがあります)。
・傷あとが落ち着くまでには数ヶ月~1年程度かかることがありますが、テーピングや保湿などで、できるだけきれいに治るようサポートします。

■ 専門病院への紹介について

脂肪腫の中には、次のようなケースもあります。

・非常に大きいもの
・体の深い場所(筋肉の深部など)にあるもの
・画像所見や触診で、悪性腫瘍(脂肪肉腫など)が否定できないもの

このように、より詳細な検査や広範な手術が必要と判断される場合には、当院での診察のうえで、大学病院などの専門病院へ適切にご紹介いたします。

脂漏性角化症(老人性いぼ)

脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)は、加齢とともに増えてくる良性の皮膚腫瘍で、「老人性いぼ」「加齢性のいぼ」とも呼ばれます。

茶色~黒色の「シミのような少し盛り上がり」として見られ、顔・頭・胸・背中・手の甲など、日光に当たりやすい部位に多く見られますが、全身どこにでも生じる可能性があります。

■ 主な症状・見た目の特徴

・茶色~黒色の斑点や、少し盛り上がった皮疹
・表面がザラザラ、あるいはカサカサしていることが多い
・数mm程度の小さいものから、1cm以上の大きさまでさまざま
・1個だけでなく、年齢とともに少しずつ数が増えてくる
・かゆみを伴うこともありますが、痛みはないことが多い

良性の変化であり、通常は皮膚がんや前がん病変ではありません。
ただし、見た目が似ている別の病変が隠れていることもあるため、自己判断は禁物です。

■ 原因

はっきりとした原因は分かっていませんが、

・加齢
・紫外線による長年のダメージ
・体質(家族にも同じような「いぼ」が多い など)

といった要素が関係していると考えられています。

■ 診断

多くの場合、見た目や触診で診断可能ですが、

・急に大きくなってきた
・形や色がいびつ
・出血をくり返す
・他の「シミ・ほくろ」との区別がつきにくい

といった場合には、ダーモスコープ(拡大鏡)での観察や、病理検査を行って鑑別が必要になることがあります。

■ 治療について

脂漏性角化症は良性のため、必ず治療しなければならない病気ではありません。
しかし、次のような理由で治療を希望される方が多くいらっしゃいます。

・顔など目立つ場所にあり、見た目が気になる
・化粧や髭剃りの邪魔になる
・下着や衣類に引っかかって刺激になる
・「がんではないか」と心配でストレスになっている

治療方法としては、

・液体窒素による凍結療法
・レーザー治療
・切除

などがあり、大きさ・数・部位・皮膚の状態などによって適切な方法を選択します。
保険適用の範囲や、自費診療となるケースについては、診察の際にご説明いたします。

■ こんなときはご相談ください

・最近急に大きくなってきた「シミ・いぼ」がある
・色や形が、これまでのシミと違うように感じる
・数が増えてきて、不安に感じる
・見た目が気になり、日常生活やおしゃれに影響している

脂漏性角化症は、「年齢のせいだから仕方ない」と思ってそのままにしてしまう方も多い病変です。気になるできものがある場合は、自己判断せず、一度ご相談ください。

 

首の小さなイボ(スキンタッグ)

首まわりやわきにできる、糸くずのような小さな「ぶら下がりイボ」です。
年齢や、ネックレス・衣類とのこすれ、汗などの刺激がきっかけで増えてきます。
良性の皮膚腫瘍で、健康上は大きな問題はありませんが、見た目や引っかかりが気になる場合には、ハサミでの切除や焼灼などで、短時間の処置で取り除くことができます。
保険治療でも対応できますが、レーザーなどで一度にたくさん取りたい場合には自費診療となります。

 

稗粒腫(はいりゅうしゅ/ミリウム)について

【稗粒腫とは?】

稗粒腫(ミリウム)は、皮膚の浅い部分に角質がたまってできる白く小さなつぶつぶ(直径1~3mm)の良性の皮膚疾患です。特に目の周りや頬に多く、触っても痛みはありません。

【症状の特徴】

・白くて丸い米粒のようなぶつぶつ
・硬く、押しても出てこない
・自然に治ることは少ない
・年齢問わず発生(乳児~大人)

【原因】

・角質が毛穴の出口でたまる
・まぶた周りの皮膚薄い部位で起きやすい
・スキンケア製品の刺激、紫外線、老化が関係することも

【当院で行っている治療】

■ 圧出(針で開けて内容物を取り出す)

最も一般的で効果的な治療です。
短時間で終了し、痛みはごく軽度です。
※自分で無理に潰すと、炎症や傷跡の原因になります。

■ 炭酸ガスレーザー治療(自費)

数が多い場合や、再発を繰り返す場合に適しています。
周囲へのダメージを最小限にし、跡が残りにくい治療です。

【よくある質問】

Q:放っておくとどうなりますか?
A:自然消失もありますが、長く残ることが多いです。

Q:予防できますか?
A:過度な摩擦を避け、保湿を心がけてください。

Q:うつる病気ですか?
A:うつりません。とても一般的な皮膚の変化です。

【まとめ】

稗粒腫は美容的なお悩みにつながりやすいですが、治療によりきれいに除去できます。
気になる場合はお気軽にご相談ください。

 

皮膚線維腫

皮膚線維腫(ひふせんいしゅ)は、皮膚の一部が少し硬く盛り上がった、良性の皮膚腫瘍です。
虫さされや小さな外傷のあとなどに生じることがあり、特にすねなど下腿に見られることが多いとされています。

■ 主な症状・特徴

・数mm~1cm前後の、やや硬めのしこり
・茶色~赤褐色の小さな隆起として見えることが多い
・押すと、中央が少しくぼんだように見えることがある(「えくぼサイン」)
・通常は強い痛みはなく、軽い違和感やかゆみ程度のことが多い
・多くは単発ですが、体質によって複数できることもあります

良性の腫瘍であり、がんに進行するものではありません。

■ 診断

見た目や触ったときの硬さ、部位の特徴などから診断することが多く、必要に応じてダーモスコープ(拡大鏡)による観察を行います。
他の腫瘍やほくろとの区別が難しい場合には、切除して病理検査で確認することもあります。

■ 治療について

皮膚線維腫は良性であり、症状がなければ経過観察でも問題ありません。
しかし、次のような場合には切除を検討します。

・見た目が気になる(特に露出部)
・服やストッキング、靴などにこすれて痛い
・触ったときの硬さやしこりが気になり、不安が強い

その場合、局所麻酔下でしこりを含めて皮膚ごと切除し、縫合します(保険診療の対象です)。
切除した組織は、必要に応じて病理検査に提出し、診断を確認します。

■ こんなときはご相談ください

・すねなどに、少し硬く、押すとくぼむようなしこりがある
・「昔の虫さされ跡だと思っていたが、色や形が変わってきた気がする」
・しこりがこすれて痛い、気になって触ってしまう
・がんではないか心配で、一度きちんと診てもらいたい

皮膚の小さなしこりは自己判断が難しいことも多いため、気になる場合は一度ご相談ください。診察のうえで、経過観察でよいものか、切除を検討したほうがよいかをご説明いたします。

 

皮膚がん・前がん病変について

※この項目は、当院形成外科で扱う内容です。

皮膚にできる「しみ」「できもの」の多くは良性ですが、中には皮膚がんや、がんになる可能性がある前がん病変が含まれることがあります。
早い段階で見つけて適切に治療することで、体への負担を少なく抑えることができます。

■ 主な皮膚がんの種類

代表的な皮膚がんには、次のようなものがあります。

・基底細胞癌
比較的ゆっくり進行し、遠くに転移することはまれですが、放置すると周囲の組織を壊していきます。
顔面(鼻・まぶた・頬など)に多く、黒~茶色、あるいは光沢のある結節として見られます。

・有棘細胞癌
日光によるダメージや、長年治らない傷あと・瘢痕などから発生することがあります。
じくじくした「ただれ」「かさぶた」が治りにくい、盛り上がってくるなどの変化を示します。

・悪性黒色腫(メラノーマ)
ほくろのように見えることがありますが、急に大きくなる・色がまだら・境界がギザギザなどが特徴です。
進行すると命に関わることもあるため、早期発見が特に重要ながんです。

■ 前がん病変とは

「今すぐがんというわけではないが、放置すると皮膚がんに進む可能性がある状態」を前がん病変と呼びます。

代表的なものには、次のような病変があります。

・日光角化症(老人性角化症)
長年の日光(紫外線)の影響でできるザラザラした赤~褐色の斑点・小さな盛り上がりです。顔・頭皮・手の甲など、日焼けしやすい部位に多く見られます。

・ボーエン病(表在型有棘細胞癌)
ゆっくり広がる赤い湿疹状の病変で、一見すると「湿疹」「ただれ」に見えることもあります。

これらは早めに治療することで、将来の皮膚がんへの進展リスクを下げることが期待できます。

■ 気をつけたい「危ないサイン」

次のような変化がある場合は、一度皮膚科・形成外科での確認をおすすめします。

・何ヶ月も治らない「かさぶた」「ただれ」「じくじく」・服やストッキング、靴などにこすれて痛い

・触ると出血しやすい盛り上がり

・以前からあるほくろに次のような変化が出てきた
– 急に大きくなってきた
– 形がいびつになってきた
– 色が濃くなったり、まだらになってきた
– 痛み・かゆみ・出血が出てきた

年齢とともに増える「しみ・いぼ」と区別がつきにくいことも多く、
気になる場合は自己判断せず、一度診察を受けていただくことが大切です。

■ 治療について

病変の種類や大きさ・場所に応じて、次のような治療を検討します。

・切除術(局所麻酔での手術)
・レーザー・凍結療法などの局所治療
・必要に応じた詳しい検査(病理検査 など)

皮膚がん・前がん病変の治療方針や手術については、当院形成外科でご相談いただけます。病変の性状や全身状態などから、さらなる検査や広範な手術が必要と考えられる場合には、大学病院などの専門病院をご紹介いたします。

 

あざについて

「あざ」は、生まれつきあるものや、成長とともに目立ってくるものなど、
皮膚の色や盛り上がりが変化した状態の総称です。
色や種類によって、自然にうすくなるもの、レーザーや手術での治療を検討するものなど、経過や治療方針が大きく異なります。

当院では、あざの性質(赤・茶・黒・青)、大きさ・深さ・場所、年齢、将来の見た目のことなどを総合的に考えて、経過観察・レーザー・手術などの選択肢をご説明します。

■ 赤あざ(いちご状血管腫・単純性血管腫)

【いちご状血管腫(乳児血管腫)】

生後まもなく現れる、赤く盛り上がった「いちごのような」あざです。
多くは成長とともに少しずつ目立たなくなっていきますが、部位や大きさによっては、ただれや出血、将来のあとが問題になることがあります。

・治療
状態によっては、内服薬による治療や、表面の赤みに対して血管に反応するレーザー(色素レーザーなど)を用いることがあります。
小さく浅い病変では経過観察のみでよい場合もあります。

・保険について
病変の大きさ・部位・症状(潰瘍・機能障害の有無など)によって、保険診療で対応できる場合と、自費診療となる場合があります。
詳しい適応は、診察時に個別にご説明いたします。

【単純性血管腫(ポートワイン母斑)】

生まれつきある、平らなピンク~赤紫色のあざで、顔や首、手足などに見られます。
自然に消えることはほとんどなく、成長とともに色が濃く見えてきたり、大人になると一部が盛り上がってくることがあります。

・治療
主に、血管に反応する色素レーザーを用いて、赤みを少しずつ薄くしていきます。
病変の深さや反応によっては、ロングパルス血管レーザーなどを併用することもあります。複数回の照射で「できるだけ目立ちにくくする」ことを目標とします。

・保険について
単純性血管腫に対するレーザー治療は、条件を満たす場合に保険適応となることがあります。部位・範囲・年齢などによって扱いが変わるため、詳細は診察の際にご相談ください。

■ 茶色いあざ(扁平母斑・カフェオレ斑など)

生まれつき、あるいは子どものころからある平らな茶色のあざです。
大きさ・濃さ・形・部位によっては、見た目の悩みの原因になることがあります。

・経過
基本的には良性ですが、まれに他の病変と区別が必要なことがあります。

・治療
メラニンに反応するQスイッチレーザーやピコレーザーが適応となる場合があります。
あざの種類・濃さ・年齢によって、効果や必要回数に差があります。

・保険について
一般的に、見た目を主な目的とした茶色いあざのレーザー治療は自費診療となることが多いです。病名や状態によって例外もあるため、保険適応の可否は診察時に確認いたします。

■ 黒っぽいあざ・ホクロ(色素性母斑など)

盛り上がりを伴うホクロのような病変や、大きめの色素性母斑です。
多くは良性ですが、形・色・大きさ・変化の仕方によっては、悪性黒色腫などとの鑑別が必要になることがあります。

・治療
小さいものや盛り上がりが少ないものは、炭酸ガスレーザーなどで表面を削る治療を行うことがあります。大きいもの・深いもの・形や色が不規則なものでは、手術による切除が第一選択となることが多く、切除した組織は必要に応じて病理検査で確認します。

・保険について
切除術(手術)は、悪性の可能性の鑑別目的や、繰り返し刺激を受ける部位などでは保険適応となることがあります。 一方、「単に見た目だけを整えたい」目的のレーザー治療は自費診療となることが多く、状況に応じて保険診療と自費診療のどちらが適切かご説明します。

■ 青あざ(太田母斑・異所性蒙古斑など)

皮膚の深い部分に色素がたまることで、青~灰色に見えるあざです。
顔・肩・腰まわりなど、部位によって名称や扱いが変わります。

・経過
自然にうすくなるもの(蒙古斑など)と、残りやすいもの(太田母斑など)があります。

・治療
メラニンの深い層に届くQスイッチレーザー(ルビー・アレキサンドライト・Nd:YAGなど)やピコレーザーを用いて治療することがあります。年齢・部位・あざの深さによって、効果の出方や必要回数が変わります。

・保険について
太田母斑や一部の異所性蒙古斑では、条件を満たす場合にレーザー治療が保険適応となることがあります。
具体的な対象や年齢制限などは、ガイドラインや施設ごとの運用によって異なるため、診察時に最新の取り扱いをご説明いたします。

■ あざ治療と保険の考え方

あざの治療は、種類(赤・茶・黒・青)、大きさ・深さ・場所、年齢、
機能障害の有無(視力・呼吸・関節の動きなど)、将来の見た目への影響によって、
保険診療で対応できる場合と、自費診療となる場合があります。

当院では、診察であざのタイプを確認したうえで、経過観察でよいのか、レーザーや手術を検討したほうがよいのか、保険診療と自費診療のどちらが適切かを個別にご説明いたします。

 

眼瞼下垂(がんけんかすい)

【眼瞼下垂とは】

まぶたを上げる筋肉の働きが弱くなり、上まぶたが黒目にかぶさってしまう状態を「眼瞼下垂(がんけんかすい)」といいます。
見た目の問題だけでなく、視野(とくに上の方)が狭くなったり、無意識におでこの筋肉を使って目を開けようとするため、頭痛や肩こり、疲れ目の原因になることがあります。

■ 原因

眼瞼下垂にはいくつかのタイプがあります。

● 加齢によるもの
長年のまばたきや加齢の影響で、まぶたを持ち上げる筋肉(眼瞼挙筋)とまぶたをつなぐ腱膜がゆるんだり、外れてしまうタイプです。中高年以降に多くみられます。

● コンタクトレンズや手術の影響
長期にわたるハードコンタクトレンズ装用や、白内障手術・眼の手術のあとに起こることがあります。

● 生まれつきのもの(先天性眼瞼下垂)
生まれつきまぶたを上げる筋肉の発育が弱く、幼少期から片目または両目のまぶたが下がっているタイプです。
※先天性眼瞼下垂は、成長や視機能の発達を考慮した専用の術式・全身麻酔などが必要となることが多く、成人の後天性眼瞼下垂とは治療方針が異なります。必要に応じて、連携医療機関へのご紹介を含めて個別にご相談させていただきます。

■ 主な症状

・まぶたが重く、目が開きにくい
・上の方が見えにくい、視野が狭く感じる
・いつも眠そう・不機嫌そうに見られてしまう
・おでこに深いシワがよる、眉を持ち上げるクセがある
・慢性的な頭痛、肩こり、眼精疲労がある

このような症状がある場合、眼瞼下垂が原因となっていることがあります。

■ 治療について(保険診療)

眼瞼下垂の根本的な治療は手術になります。
まぶたの皮膚あるいは裏側からアプローチし、弱くなったまぶたの筋肉や腱膜を短くしたり、しっかり固定し直すことで、まぶたを開く力を改善させます。

〇保険診療の対象となる眼瞼下垂
視野障害や日常生活への支障(見づらさ、頭痛・肩こりなど)がある場合は、保険適用の手術になることがあります。
診察時に、まぶたの開き具合や症状を確認し、保険適用の可否を判断いたします。

※ 見た目のみを目的とした二重まぶた手術や、美容目的の眼瞼下垂手術は保険適用外(自由診療)となります。
美容目的の眼瞼下垂術については、「美容外科」項目内の「まぶた・目元の美容相談」のページをご参照ください。

〇保険適応で行う主な術式(成人・後天性眼瞼下垂/2種類)

当院では、主に成人の後天性眼瞼下垂に対して、次の2種類の術式から適切な方法を選択します。

1.皮膚側から行う眼瞼挙筋前転術(経皮切開法)
まぶたのしわに沿って皮膚を数ミリ切開し、まぶたを上げる筋肉(眼瞼挙筋)や腱膜を確認します。
ゆるんでいる腱膜を短くしたり、前方へ引き出して、まぶたの縁にしっかり固定し直すことで、まぶたを開く力を改善します。
必要に応じて、たるんだ皮膚や脂肪も適切な範囲で切除し、視界を妨げないように整えます。
上まぶたの皮膚のたるみが強い方、高齢の方に適した方法です。

2.まぶたの裏側から行う眼瞼挙筋・ミュラー筋短縮術(経結膜法)
まぶたの裏側(結膜側)からアプローチし、眼瞼挙筋やミュラー筋と呼ばれる筋肉を短縮・縫い縮めることで、まぶたを引き上げます。
皮膚表面を切開しないため、表側に傷あとが残りにくいのが特徴です。
皮膚のたるみが少ない方や、比較的軽度〜中等度の眼瞼下垂の方に適した方法です。

どちらの術式が適しているかは、まぶたの開き具合、筋肉の状態、皮膚のたるみの有無などを拝見した上で決定いたします。

【先天性眼瞼下垂について】

先天性の場合は、眼瞼挙筋の発育不良が強いことが多く、挙筋短縮術や前頭筋吊り上げ術など、成人の後天性とは異なる術式・麻酔方法が必要になります。
年齢や視機能の発達状況をふまえて、小児専門施設での治療が望ましいケースもありますので、診察のうえで適切な医療機関をご提案いたします。

■手術後の経過

・手術直後は、腫れや内出血が数日〜2週間ほどみられることがあります。
・抜糸は通常1週間前後です(皮膚側から切開する方法の場合)。
・腫れが落ち着き、まぶたの高さ・左右差が安定するまでに1〜3か月ほどかかります。

■合併症・リスクについて

どのような手術にも合併症の可能性があります。眼瞼下垂手術では、次のようなリスクが考えられます。

・左右のまぶたの高さの差、開き具合の過不足
・腫れ・内出血・違和感
・傷あとが目立つ、二重のラインの不自然さ(皮膚切開法の場合)
・まれに再調整・再手術が必要になること

当院では、術前にメリットだけでなくリスクについても丁寧にご説明し、ご理解いただいた上で手術を行います。

■受診の目安

・まぶたが重くて、本やパソコンの文字が見づらい
・眉を持ち上げていないと視界が保てない
・家族や周囲から「目が細くなった」「眠そう」と言われるようになった
・頭痛や肩こり、疲れ目が気になる

このような症状でお困りの方は、一度ご相談ください。
形成外科では、「見た目」と「見え方」の両面から、機能と美容のバランスを考えた治療プランをご提案いたします。

 

腋臭症(わきが)について

腋臭症(えきしゅうしょう)、いわゆる「わきが」は、わきの下から特有の強いにおいが出る状態を指します。
アポクリン汗腺という汗腺から出る汗が、皮膚の表面で皮脂や細菌と混ざることで、独特の体臭として感じられます。

■ 症状の特徴

・自分でもはっきり分かる強いわきのにおいがある
・衣類や下着ににおいが移りやすい
・家族や身近な人から「におい」を指摘されたことがある
・緊張したときや暑いときに、においが強くなると感じる

においの感じ方には個人差があり、「自分が気にしすぎている」場合もあれば、周囲の人にとっても強いにおいとなっている場合もあります。
日常生活・学校生活・仕事・人間関係に影響している場合には、治療を検討してもよいと考えられます。

■ 原因

腋臭症は、わきの下に多い「アポクリン汗腺」が主な原因とされています。

・アポクリン汗腺からの汗自体は無臭ですが、皮脂や皮膚表面の細菌と混ざることで強いにおいとなります。
・遺伝的な要素も関係していると考えられており、家族にも同じ悩みを持つ方がいることがあります。
・思春期以降に目立ってくることが多く、ホルモンバランスも影響するとされています。

■ 日常生活でできる対策・保存的な治療

軽症~中等症の場合、次のような方法で症状がある程度軽くなることもあります。

・わきの清潔を保つ(毎日のシャワー・入浴)
・汗をかいた衣類は早めに着替える
・制汗剤やにおい対策スプレーの使用
・病院で処方する外用薬による治療
・ボトックス注射などによる汗の量のコントロール(自費診療となることがあります)

これらの方法で十分にコントロールできない場合や、においの悩みが強い場合には、
根本的ににおいの原因となる汗腺を減らす手術治療を検討します。

■ 手術治療について(形成外科)

当院では、わきの皮膚を小さく切開し、直視下でアポクリン汗腺を確認しながら取り除く「剪除法(せんじょほう)」を基本としています。においの原因となる汗腺そのものを減らすことを目的とした治療です。

・手術時間の目安
片側(右または左)あたりおよそ40分程度が目安です。
両側を同時に行うことも可能ですが、腫れ・内出血・術後管理のしやすさなどを考えると、状況によっては「片側ずつ、時期を分けて行う」ほうが望ましい場合もあります。

■ 手術の流れ

1.診察・デザイン
においの範囲や汗腺の分布を確認し、切開の位置や範囲をデザインします。

2.麻酔
局所麻酔で行います。

3.皮膚切開と汗腺の摘除
わきのシワに沿った数cm程度の切開をおき、皮膚を反転させ、皮膚の裏側についているアポクリン汗腺を目で確認しながら丁寧に除去していきます。

4.縫合と圧迫固定
皮膚と皮下を縫合し、わき全体をガーゼや包帯などで圧迫固定します。
手術は原則として日帰りで行います。

■ 手術後の経過

・手術当日~数日
わきの圧迫固定のため、腕を大きく上げる動きは控えていただきます。
痛みは内服鎮痛薬でコントロールできる程度のことが多いです。

・抜糸
抜糸は通常、手術からおよそ1週間後が目安です(傷の状態により前後します)。

・日常生活
デスクワークなど軽いお仕事は数日後から可能なことが多いですが、スポーツや力仕事、腕を大きく動かす動作は、数週間程度控えていただく必要があります。

■ 効果と限界・起こりうるリスク

・多くの方で、においははっきりと軽くなることが期待できますが、体質や汗腺の分布によっては、完全にゼロにはならず、わずかに残ることもあります。

・手術に伴い、以下のような合併症が起こる可能性があります。
– 出血・血腫(皮下に血がたまる)
– 感染(傷の赤み・腫れ・膿)
– 皮膚の血流障害・傷の治りの遅れ
– 傷あとが赤く盛り上がる・瘢痕/ケロイド
– わきの感覚の一時的な鈍さ
– においの残存・再発

これらのリスクをできるだけ減らすため、術前・術後の注意点を丁寧にご説明し、経過をフォローします。

■ 保険診療と自費診療について

腋臭症の手術は、においが強く、日常生活や社会生活に支障があると判断される場合には、健康保険の適応となることがあります。
一方で、においが軽度で、主に美容的な目的と判断される場合には、自費診療となることもあります。

具体的な適応や自己負担額は、実際の症状や診察所見によって変わりますので、
詳しくは受診時にご相談ください。

 

爪のトラブル(形成外科・陥入爪の手術)

足の爪や手の爪は、歩行やスポーツ、日常生活の動作で常に負担がかかっています。
「少し痛いだけ」と思って放置しているうちに、歩くのがつらくなったり、化膿して腫れてしまうこともあります。

このページでは、特に形成外科で扱うことの多い「陥入爪(かんにゅうそう)」の治療についてご説明します。爪白癬(爪の水虫)については、皮膚科の項目もあわせてご参照ください。

【陥入爪(巻き爪を含む)とは】

足の爪の端が内側に丸くなって皮膚にくい込み、痛みや炎症を起こした状態です。
靴の圧迫・深爪・スポーツ・体質など、さまざまな要因が関係します。

● 主な症状

・爪の両わきや片側が赤く腫れ、歩くと痛む/押さえると強く痛い
・進行すると、膿が出たり、肉芽(赤い盛り上がり)ができることがあります。

〇まず行うこと(保存的治療・矯正治療)

軽症の場合には、次のような方法で症状が軽くなることもあります。

・正しい爪の切り方(深爪を避ける)
・靴の見直し(先の細い靴・きつい靴を避ける)
・テーピングやコットンパッキングで、爪のくい込みを和らげる
・炎症や感染がある場合には、外用薬や内服薬での治療

当院では、爪の形やくい込みの程度に応じて、ワイヤー矯正や、マルホ社の巻き爪矯正具(巻き爪マイスター)を用いた矯正治療を行うこともあります。
(適応や費用の目安については、診察時に個別にご説明いたします。)

こうした保存的・矯正的治療を行っても、痛みや炎症をくり返す場合には、
根本的にくい込む爪の部分を減らす「手術治療」を検討します。

〇陥入爪の手術について(保険手術は2種類)

陥入爪の保険診療での手術には、症状や変形の程度に応じた2種類があります。
爪の状態や、どの程度しつこく再発しているかを拝見したうえで方法を選択します。

◆ 比較的シンプルな症例
くい込んでいる爪の縁をくさび状に切除する「爪の楔状切除(部分切除)」を行います。
比較的負担の少ない手術ですが、爪の根元の処理を行わないため、再発する可能性があります。

◆ 炎症や変形が強い、しつこく再発している症例
くい込んでいる爪の一部に加えて、爪床を整える「爪床形成術」を行い、必要に応じて爪母の一部を処理して、再発を予防します。根治的な手術となる分、術後はその側の爪の幅がやや細くなる傾向があります。しつこくくり返してお困りの場合には、この根治術をおすすめすることがあります。

● 手術の適応のめやす
・保存的治療や矯正具を続けても改善せず、痛みで日常生活に支障がある
・化膿や肉芽をくり返している
・爪の変形が強く、今後も再発をくり返すと考えられる

● 手術時間
1か所あたり、およそ20分程度が目安です(個人差があります)。

〇手術の流れ

1.診察・デザイン
くい込んでいる部位と、爪の幅・厚みを確認し、どの範囲の爪を取るかを決めます。

2.麻酔
指の付け根付近に局所麻酔を行います。手術中の痛みは感じないようにします。

3.爪の一部と爪の根元・爪床の処理
くい込んでいる側の爪を細長く一部だけ切除し、症例に応じて爪床を整えたり、必要に応じてその根元(爪母)の一部を処理して、同じ部分が再び太く伸びてこないようにします。

4.縫合と包帯
傷をきれいに縫合し、爪まわりをガーゼと包帯で保護します。
手術は日帰りで行います。

〇手術後の経過

・当日~数日
歩行は可能ですが、長時間の歩行や激しい運動は避けていただきます。
痛みは内服鎮痛薬でコントロールできる程度のことが多いです。

・抜糸
抜糸は通常、手術からおよそ1週間後が目安です(傷の状態により前後します)。

・日常生活
デスクワークなど軽いお仕事は数日後から可能なことが多いですが、
スポーツや長時間の立ち仕事は、傷の状態をみながら再開時期を相談します。

〇効果と注意点

・くい込んでいた爪の部分が細くなることで、痛みや炎症の改善が期待できます。
・手術を行った側の爪の幅は、術前よりもやや細くなります。
・体質や生活習慣によっては、別の部分に再びくい込みが生じることもあり、
再発を完全にゼロにすることはできません。

【爪白癬(爪の水虫)について】

爪が白~黄色に濁る・厚くなる・ボロボロと崩れてくる場合、爪白癬(爪の水虫)の可能性があります。これはカビの一種(白癬菌)が原因で、放っておいて自然に治ることは少ない病気です。

爪白癬の治療は、内服薬や外用薬を中心とした「皮膚科の治療」となります。
詳しくは「皮膚科・爪白癬」の項目もあわせてご参照ください。

〇受診のタイミング

・歩くたびに足の爪まわりが痛い
・爪のくい込みをくり返し、膿や肉芽ができている
・保存的な対策や矯正具を使ってもなかなか良くならない
・爪の色や形が「以前と違う」と感じる

このような場合は、自己判断で様子を見続けず、一度ご相談ください。
形成外科で手術が適しているかどうか、あるいは皮膚科での治療が優先かどうかも含めてご説明いたします。

 

皮膚潰瘍・下腿潰瘍・褥瘡について

皮膚が欠けて深くえぐれた状態を「皮膚潰瘍(ひふかいよう)」と呼びます。
特に、足(すね・くるぶし・足先)にできるものを「下腿潰瘍(かたいかいよう)」、長時間同じ姿勢が続くことで骨が出っ張ったところの皮膚や皮下組織が壊れてしまうものを「褥瘡(じょくそう・床ずれ)」と言います。

【皮膚潰瘍・下腿潰瘍】

● 主な原因
・糖尿病
・動脈硬化や閉塞性動脈硬化症などによる血流障害
・静脈瘤や血栓後症候群などによる静脈うっ滞
・長期間のむくみ、皮膚炎、感染
・外傷ややけどのあとが治りきらずに悪化した場合 など

特に、ふくらはぎ~足首~足先は心臓から遠く、血流の問題やむくみの影響を受けやすいため、いったん潰瘍ができると自然には治りにくく、長引いてしまうことがあります。

● 症状
・皮膚がただれる、ジュクジュクする
・赤黒いかさぶたの下がえぐれている
・痛みやしみる感じ
・長期間治らないきず など

● 治療の考え方
皮膚潰瘍・下腿潰瘍では、「きずそのものの処置」と「原因(血流・むくみ・基礎疾患)への対応」の両方が大切です。

・創部の洗浄と適切な被覆材(ガーゼ・ドレッシング材)による保護
・必要に応じた壊死組織(黒いかさぶたなど)の除去
・感染が疑われる場合には、抗菌薬の内服や外用
・弾性ストッキングや弾性包帯によるむくみ(浮腫)のコントロール
・糖尿病・動脈硬化・心不全など、基礎疾患のコントロール

難治性の下腿潰瘍では、骨髄炎(骨の感染症)の有無を画像検査などで確認することが重要です。
必要に応じて、形成外科的な局所皮弁・筋皮弁・遊離皮弁などを用いた再建手術が選択されることもあり、そのような高度な治療が必要と判断される場合には、対応可能な専門病院へのご紹介が可能です。

血流障害や重度の静脈疾患が疑われる場合には、必要に応じて血管外科・循環器内科など
専門の医療機関での精査や治療が必要になることがあります。

当院では、創部の評価と処置を行い、必要に応じて専門病院をご紹介いたします。

【褥瘡(じょくそう・床ずれ)】

褥瘡は、寝たきりの状態や、車いす生活・長時間同じ姿勢が続くことで、骨が出っ張っているところ(仙骨部・かかと・坐骨部・くるぶしなど)に圧力がかかり続け、血流が悪くなって皮膚やその下の組織が壊れてしまう状態です。

● 主な危険因子
・長期間の寝たきり、活動性の低下
・やせて骨ばっている、または強いむくみがある
・栄養状態の低下
・糖尿病などの基礎疾患
・おむつかぶれや湿った状態が続いている など

● 予防
褥瘡は「できてから治す」よりも、「できないように予防する」ことがとても重要です。
・こまめな体位変換(2時間ごとを目安に姿勢を変えるなど)
・エアマットレスやクッションなど、体圧分散用具の使用
・皮膚を清潔かつ乾燥しすぎない状態に保つ
・栄養状態の評価と改善(十分なたんぱく質とエネルギー摂取)
・おむつかぶれやびらんがあれば早めに対応する

● できてしまった褥瘡の治療
・創部の洗浄と、状態に合った被覆材による保護
・壊死組織の除去(デブリードマン)
・感染がある場合の抗菌薬治療
・体位変換や体圧分散など、局所への圧迫を減らす工夫
・栄養・全身状態の改善

深い褥瘡や、骨まで達しているような重症例では、入院での集中的な治療や、筋皮弁などを用いた形成外科的な手術が必要になることもあります。
そのような場合には、設備の整った専門病院での治療が適しており、連携して対応します。

【受診のタイミング】

・「きず」が2週間以上たってもよくならない
・足やすねに、同じ場所の潰瘍をくり返している
・ジュクジュクしたきずが増えてきた、においが気になる
・寝たきりのご家族の、おしり・かかとなどに赤みやただれがある

このような場合は、自己判断で市販薬だけで様子をみず、早めの受診をおすすめします。
当院では、皮膚の状態や全身状態を確認したうえで、
外用薬・処置・弾性ストッキングなどによる保存的治療を行い、
必要に応じて内科・血管外科・専門病院と連携して治療方針をご提案いたします。

 

小児の先天性の小さな変形(副耳・耳前瘻孔など)

生まれつき、耳のまわりやほほに小さなふくらみや穴が見られることがあります。
代表的なものに、「副耳(ふくじ)」「耳前瘻孔(じぜんろうこう)」などがあります。

【副耳(ふくじ)】

耳の前~ほほのあたりにできる、小さなイボのようなふくらみです。
中に軟骨が入っていることもあり、触ると少し硬く感じる場合もあります。

・ほとんどは痛みもなく、命に関わる病気ではありません。

・ただし、次のような理由から、就学前~学童期に切除を希望されることが多いです。
– 見た目が気になる
– マスクやメガネのつる・ヘルメットなどでこすれて痛む
– お子さんが気にして触ってしまう

治療は、小さな切開を加えてふくらみごと切除する手術です。
年長のお子さん~大人の方であれば、局所麻酔での日帰り手術が可能なことがほとんどです。小さなお子さんでじっとしていることが難しい場合には、全身麻酔が可能な医療機関へのご紹介が適していることもあります。

【耳前瘻孔(じぜんろうこう)】

耳の付け根の前に、小さな穴やくぼみがある状態です。
生まれつきの「トンネル」のようなもので、ふだんは何も症状がないことも多いです。

・何も起こらず一生そのままの方もいます。
・一方で、中にばい菌がたまると、腫れ・痛み・膿(うみ)が出ることがあります。
・炎症をくり返すタイプでは、抗生剤や切開排膿だけではなく、
元になっている瘻孔(トンネル)全体を摘出する手術が必要になることがあります。

手術は、炎症が落ち着いている時期に、耳の前を小さく切開して瘻孔のルートをたどりながら、できるだけ取り残しがないように摘出します。

〇手術・受診の目安

● 副耳
・見た目が気になる
・ぶつけて痛む、こすれて出血する
といった場合には、手術時期をご相談ください。

● 耳前瘻孔
・腫れ・痛み・膿がくり返される場合は、根本的な切除手術を検討します。

多くの場合は保険診療の対象となりますが、大きさ・部位・症状の有無によって扱いが変わることがあります。
実際の状態を拝見したうえで、手術のタイミングや方法、必要に応じて全身麻酔が可能な専門病院へのご紹介も含めてご説明いたします。

 

手足のしこり(ガングリオンなどの良性腫瘍)

手首や指、足の甲・足首などに「コリコリしたしこり」「丸いふくらみ」ができて、
・痛みはあまりないけれど気になる
・動かすと違和感がある
・最近大きくなってきた気がする
といったご相談がよくあります。

その多くは「ガングリオン」をはじめとする良性のしこり(腫瘍・嚢胞)です。

〇よく見られる良性のしこり

● ガングリオン
関節のそばや腱の周りにできる、ゼリー状の液がたまった袋(嚢胞)です。
手首の甲・指の付け根・足の甲などに多く見られます。

・触るとコリコリ/ぷにぷにした感じの、丸いしこり
・大きくなったり小さくなったりすることがある
・多くは痛みがないか、軽い違和感程度

神経のそばにできると、しびれや痛みの原因になることもあります。

● その他の良性腫瘍
手足には、次のような良性のしこりができることもあります。

・脂肪腫(やわらかい脂肪のしこり)
・腱鞘巨細胞腫(指の付け根などにできる、やや硬いしこり)
・表皮嚢腫(粉瘤) など

見た目や触った感じだけでは、種類を見分けにくいことも多いため、必要に応じてエコー(超音波)検査やMRI検査などで内部の状態を確認することがあります。

〇治療について

しこりが小さく、痛みもなく、日常生活に支障がない場合には、経過をみるだけでよいことも少なくありません。

一方で、次のような場合には治療を検討します。
・痛みやしびれがあり、日常生活に支障がある
・動かすと引っかかる感じがある
・見た目が気になってしまう
・短期間で急に大きくなってきた

● ガングリオンの場合
・穿刺(せんし):細い針を刺して、中のゼリー状の液を吸い出す方法です。
比較的簡単に行えますが、袋の壁が残るため、再びふくらんでくることがあります。
・手術:袋そのものを切除し、根元から取り除く方法です。
再発のリスクを減らしたい場合や、神経・血管を圧迫して症状が強い場合などに検討します。

● その他の良性腫瘍
脂肪腫や腱鞘巨細胞腫、粉瘤などは、基本的には「しこりごと切除する手術」で治療します。
局所麻酔による日帰り手術で対応できることが多く、大きさや場所、周囲との位置関係を確認したうえで方法をご説明します。

〇治療が必要なしこり

多くは良性ですが、まれに悪性腫瘍が隠れている場合もあるため、次のようなしこりは早めの受診をおすすめします。

・短期間で急に大きくなっている
・強い痛みがある
・硬くて動かない
・夜間も痛みで目が覚める
・しこりのまわりが赤く腫れて熱をもっている

診察やエコー検査などで良性と考えられる場合には、当院での手術治療が可能です。
悪性腫瘍の可能性が否定できない場合や、骨・腱・神経などとの関係が複雑な場合には、
整形外科・腫瘍専門の医療機関などへのご紹介を検討します。

〇受診の目安

・「手足にしこりができてきた」「最近大きくなってきた気がする」
・痛みやしびれ、動かしにくさがある
・ガングリオンと言われたことがあるが、どうしたらよいか迷っている
このような場合は、一度ご相談ください。

しこりの性質や場所、症状に応じて、経過観察・穿刺・日帰り手術・専門病院へのご紹介など、最適な方針をご一緒に考えていきます。